概要
TMC100Aの使用実績を元に改良され、増備がつづけられた機種。
TMC100Aからの変更点は、キャブ前後の窓が若干横長に変更され、手動式サイレンが前面左下から左上へ移設されたこと。また、副変速機内のデファレンシャル機構を6[t]自動車用から8[t]自動車用に変更、元空気ダメの容量を70[L]から140[L]へと増加させるなどTMC100Aより動力・制動機構が強化されている。
TMC100Bは増備中にさまざまな改良が加えられており、製造時期によって細かな差異があることも特徴である。キャブの半鋼製から全鋼製への変更、BP用圧力計の追加、絶縁車輪・制輪子の採用(製造番号488以降)などが行われている。また、連結装置はTMC100Aまで後位にのみ簡易連結器が備わるのみであったが、製造番号456~476の間に、前後位とも簡易連結器を備えたもの、前位を簡易連結器、後位を自動連結器としたものが現れ、製造番号477以降では前後位とも自動連結器を備えるように変化した。
更に個体により後位側荷台にクレーンを架装するものが現れた。1.5[t]吊りと2.5[t]吊りの2種類が存在し、後位のタイプはアウトリガーも備えていた。なお、クレーン付き個体については転車台が富士重工業製の大型転車装置を持つ(簡易レギュレータ架装車についても同様)。
キャブについても外観上の変遷が多く、前期型はキャブの前位側に傾斜が付けられ、屋根が丸くRを描いている。ところが、後期型ではキャブの傾斜が無くなり切妻形に変更、更に屋根は三つ折り形へと変化した。また、更に最後期型では側扉が外開戸から外吊りの引戸へと変更されている。
製造番号146~。
諸元
■ 寸法・重量
長さ | 5,775[mm] |
幅 | 2,064[mm] |
高さ | 2,650[mm] |
軌間 | 1,067[mm] |
軸距 | 2,900[mm] |
車輪径 | 660[mm] |
自重 | 7.2[t] |
■ エンジン
エンジン名称 | いすゞ DA120P |
エンジン形式 | 水冷4サイクル 6気筒 |
エンジン出力 | 89[PS]/220[rpm] ※ |
※ JIS規格の呼称変更により新表示では102[PS]
■ 動力伝達
クラッチ | 乾燥単板式、油圧クラッチ |
変速機 | 前進4段、後進1段 |
逆転機 | 前進1:後進0.84 |
駆動輪 | 前後2軸駆動 |
■ ブレーキ方式
主ブレーキ方式 | 空気ブレーキ |
補助ブレーキ | ネジ式手ブレーキ、センターブレーキ |
■ 主要装置
転車装置・転車台 | 油圧昇降手押旋回 |
離線装置 | 離線車輪付手押 |
撒砂装置 | 全車輪前後方向切替 |
連結器 | 自動連結器 |
連結器高さ | 880[mm] |
■ 積載荷重・定員
荷台積載荷重 | 2.5[t] |
運転室座席定員 | 3人 |
■ 空気・燃料容量
空気圧縮機形式 | C400 |
元空気ダメ容量 | 140[L](70[L]×2) |
燃料タンク容量 | 72[L] |
■ 牽引性能
勾配 | 積載重量 | 牽引重量 | 単車積載時 | 重量牽引時 |
水平線 | 2.5[t] | 100[t] | 50[km/h]以上 | 45[km/h]以上 |
10‰ | 2.5[t] | 50[t] | 45[km/h]以上 | 20[km/h]以上 |
25‰ | 2.5[t] | 40[t] | 40[km/h]以上 | 10[km/h]以上 |
参考文献
1)松田務 『MC -一般型モーターカー見聞録-』, トワイライトゾ~ン マニュアル11, ネコ・パブリッシング, (2002)
2)尾西定明 『大型軌道モータカーの構造と取扱』, 交友社, (1967)