概要
1960年から製造されたTMC100Bのラッセル装置付きタイプ。
除雪作業の近代化および省力化を目指し開発が開始され、1960年から試用ののち製造が開始された。TMC100Bよりも登場が早かった。
前位側に大型のスノープラウを装着する。スノープラウには拡幅翼とフランジャが付属しており、それぞれ圧縮空気により動作する。夏季はスノープラウを取り外し、通常の軌道モータカーとして保線用などに活用できるようになっている。
除雪用ならではの装備として、排雪抵抗に耐えうるよう1[t]のカウンターウェイトが搭載されている。また、副変速機内のデファレンシャル機構にデフロック機能を備えており、除雪中のスタックを防ぐようになっている。
除雪作業者の乗車スペースを確保するためにキャブを延長し、運転室の座席を2列としている。これにより乗車定員はTMC100Bの3名から6名に倍増した。初期型のものにはキャブ後部の荷台をテント張りとしたものが存在したが、次第にキャブ自体が延長され後位型荷台まで密閉されたタイプが主流となる。寒冷地での使用が主となることからキャブ内には油燃焼式暖房装置が備えられている。
積雪500[mm]以下(比重0.1)のとき20~40[km/h]にて、幅3,800[mm]のレール面上の除雪能力を有する。
前期型と後期型でキャブの外観が異なり、前期型は前位側前面窓が2枚で側扉が開戸、後期型は前位側前面窓が3枚で側扉が引戸となっている。
製造番号136~。
諸元(冬姿)
■ 寸法・重量
長さ | 7,305[mm] |
幅 | 2,064[mm] |
高さ | 2,650[mm] |
軌間 | 1,067[mm] |
軸距 | 2,900[mm] |
車輪径 | 660[mm] |
自重 | 10.0[t] |
■ エンジン
エンジン名称 | いすゞ DA120P |
エンジン形式 | 水冷4サイクル 6気筒 |
エンジン出力 | 89[PS]/220[rpm] ※ |
※ JIS規格の呼称変更により新表示では102[PS]
■ 動力伝達
クラッチ | 乾燥単板式、油圧クラッチ |
変速機 | 前進4段、後進1段 |
逆転機 | 前進1:後進0.84 |
駆動輪 | 前後2軸駆動 |
■ ブレーキ方式
主ブレーキ方式 | 空気ブレーキ |
補助ブレーキ | ネジ式手ブレーキ、センターブレーキ |
■ 主要装置
転車装置・転車台 | 油圧昇降手押旋回 |
離線装置 | 離線車輪付手押 |
撒砂装置 | 全車輪前後方向切替 |
連結器 | 自動連結器 |
連結器高さ | 880[mm] |
■ 積載荷重・定員
荷台積載荷重 | 2.5[t] |
運転室座席定員 | 6人 |
■ 空気・燃料容量
空気圧縮機形式 | C400 |
元空気ダメ容量 | 140[L](70[L]×2) |
燃料タンク容量 | 72[L] |
■ 牽引性能
勾配 | 積載重量 | 牽引重量 | 単車積載時 | 重量牽引時 |
水平線 | 2.5[t] | 100[t] | 50[km/h]以上 | 45[km/h]以上 |
10‰ | 2.5[t] | 50[t] | 45[km/h]以上 | 20[km/h]以上 |
25‰ | 2.5[t] | 40[t] | 40[km/h]以上 | 10[km/h]以上 |
■ 排雪性能
積雪量 | 除雪幅 | 雪比重 | 車速 |
500[mm] | 3,800[mm] | 0.1 | 20~40[km/h] |
参考文献
1)松田務 『MC -一般型モーターカー見聞録-』, トワイライトゾ~ン マニュアル11, ネコ・パブリッシング, (2002)
2)尾西定明 『大型軌道モータカーの構造と取扱』, 交友社, (1967)
3)富士重工業株式会社 『除雪兼用貨物型軌道モーターカー』, JREA 1961.6, 日本鉄道技術協会, (1961)