TMC101A

概要


1960年代前半、東海道新幹線の建設工事が開始された。建設工事がある程度進むと標準軌の線路が敷設され、その上を通って更なる線路を延伸するためのレールと枕木をセットした軌框などの建設資材を輸送する必要があった。このため、標準軌用の軌道モータカーとしてTMC101Aが製作された。

TMC101Aは当時増備が進められていたTMC100Bの標準軌版と言えるものである。前位に簡易自連、後位に自動連結器を取り付けたほか、空気ブレーキ装置に補助空気ダメ、三動弁および元空気ダメの連結ホースを装備し、TMC101A同士で重連運転した際に貫通ブレーキを使えるようにした。空気ホース2本のほかにも調圧器用の制御ジャンパケーブルも備え、重連時には両車の元空気ダメの圧力を調整できるようになっている。

また、転車装置については装備する車両と、装備しない車両がある。転車装置には松山式の油圧式転車装置を用いている。

更に、プロペラシャフト折損時に走行不能になることを防ぐため、副変速機内の差動装置の動作を止めるデフロック機構が備えられている(TMC100BSと共通)。

前後進の速度比はTMC100シリーズと、TMC101Aで異なる。

製造番号204~。
 
 
諸元


■ 寸法・重量

長さ
高さ
軌間 1,435[mm]
軸距
車輪径
自重

 
■ エンジン

エンジン名称 いすゞ DA120P
エンジン形式 水冷4サイクル 6気筒
エンジン出力 89[PS]/220[rpm] ※

※ JIS規格の呼称変更により新表示では102[PS]

 
■ 動力伝達

クラッチ 乾燥単板式、油圧クラッチ
変速機 前進4段、後進1段
逆転機 前進1:後進0.84
駆動輪 前後2軸駆動

 
■ ブレーキ方式

主ブレーキ方式 空気ブレーキ
補助ブレーキ ネジ式手ブレーキ、センターブレーキ

 
■ 主要装置

転車装置・転車台 油圧昇降手押旋回
離線装置 離線車輪付手押
撒砂装置 全車輪前後方向切替
連結器 前位 簡易自連 後位 自動連結器
連結器高さ 880[mm]

 
■ 積載荷重・定員

荷台積載荷重 2.5[t]
運転室座席定員 3人

 
■ 空気・燃料容量

空気圧縮機形式 C400
元空気ダメ容量 140[L](70[L]×2)
燃料タンク容量 72[L]

 
■ 牽引性能

勾配 積載重量 牽引重量 単車積載時 重量牽引時
水平線 2.5[t] 100[t] 50[km/h]以上 45[km/h]以上
10‰ 2.5[t] 50[t] 45[km/h]以上 20[km/h]以上
25‰ 2.5[t] 40[t] 40[km/h]以上 10[km/h]以上

 
 
参考文献


1)松田務 『MC -一般型モーターカー見聞録-』, トワイライトゾ~ン マニュアル11, ネコ・パブリッシング, (2002)
2)尾西定明 『大型軌道モータカーの構造と取扱』, 交友社, (1967)