TMC501

概要


山陽新幹線軌道工事用として開発され、1970年10月14日、山陽新幹線西神戸軌道基地に搬入された。

山陽新幹線軌道工事において、TMC201系が使用されていた。150[m]軌框の運搬敷設やバラスト運搬敷設が主たる作業であったが、10[‰]以上の上り勾配では貨車3両以上の牽引に無理があるから、更に強力な牽引能力を備えたモータカーが望まれていた。
このために開発されたものが、試作型TMC501である。

TMC501は、日産ディーゼル UDV8型ディーゼルエンジン(235[PS])を搭載、ニイガタ TDCN-22-1006型トルクコンバータ付逆転機付変速機を使用しており、走行中の高低速切換が可能となっている。
ブレーキ装置は、自動ブレーキで、A型入換ブレーキ弁・K2形三動弁が使用されている。
このようなパワートレーンを収める機関室は、車両の中央部から前部にかけて配されており、その直上の前端に車幅いっぱい横長のキャブが載っている。このため、前から見るとT字型をした非常にユーモラスな外観となっている。

補足として、一体圧延車輪を使用しており、転車装置・横取装置などはない。

製造番号1のみ
 
 
諸元


■ エンジン

エンジン形式 日産ディーゼル UDV8型ディーゼルエンジン
エンジン出力 235[PS]

 
■ ブレーキ方式

主ブレーキ方式 自動ブレーキ

 
■ 牽引性能

勾配 積載荷重 牽引重量 単車積載時 重量牽引時
水平線 2.5[t] 200[t] 70[km/h]以上 45[km/h]以上
10‰ 200[t] 2.5[t] 65[km/h]以上 10[km/h]以上
20‰ 200[t] 25[t] 45[km/h]以上 7[km/h]以上

 
 
参考文献


1)松田務 『MC -一般型モーターカー見聞録-』, トワイライトゾ~ン マニュアル11, ネコ・パブリッシング, (2002)
2)尾西定明 『大型軌道モータカーの構造と取扱』, 交友社, (1967)
3)『軌道モータカー(新幹線用235PS)が西神戸基地に搬入された』, 新線路, 第24巻 11号, 鉄道現業社, (1970/11)