02_軌道モータカーロータリー


軌道モータカーにロータリー式除雪装置を装備した保守用車。
MCRはMotor Car Rotaryの略である。更に略してMR、モロと呼称されることもある。

前位にロータリー除雪装置、後位にはラッセル式の除雪装置が装備されていることが多い。

降雪初期段階においては機動性に優れるラッセルにて雪を掻き分けて除雪を行うが、深雪の際や側雪が高くなるとラッセルによる除雪が困難になる。
そうした際に線路際に貯まった側雪をウイングにて線路中心に掻き寄せた後に遠くに投雪することで除雪を行う。
ロータリー式除雪装置下部には軌間内を除雪するフランジャーや、レール頭頂面付近を除雪するアイスカッターが装備されている。
豪雪地帯においては側雪の雪庇を崩すための段切装置をラッセルの上部に装備している物もある。

これらの除雪装置のウイングの開閉やフランジャーの上げ下げは周囲が雪に埋もれた状態で行うため標識等を目安に行われていたが、近年は安全性向上や省力化のため地上子を用いた自動化も進んでいる。

夏は除雪装置を取り外し、軌道モータカーと同様に使用することができる。

 

■構造



△代表的な除雪装備を全て装備したN-MCR600(代表)

 

・ロータリー装置

車両の前位側に取り付けられる。
黎明期はバイルハック型や鉄研型など多様な形状が試行されたが日本の雪質にはロルバ型リボンスクリュー方式が相性が良く、今日のロータリー装置はロルバ型リボンスクリュー方式が全面的に採用されている。
ロータリー装置は以下の要素で構成される。

 

ウィング(掻き寄せ翼)
翼を広げることで軌道脇の雪を軌道中心へ寄せることができる。
軌道中心へ掻き寄せられた雪はオーガへ送られる。

オーガ(掻き寄せスクリュー)
回転するスクリューで掻き寄せられた雪を砕いてブロワーへ送り込む。

ブロワー
雪を回転する羽根車で側方へ投雪する。(ブロワー直接投雪)
後述のシュートに雪へ送ることで投雪方向を制御することもできる。

シュート(案内筒)
ブロワーから吐き出された雪をシュートが回転することで左右/前の任意の方向へ投雪することができる。

シュートキャップ(案内口)
シュートキャップを開閉することで投雪距離を調整できる。

フランジャー
レール間を除雪する。レール面より低いため踏切や分岐器では格納する必要がある。

 


△N-MCR600(後位側より見る)

・ラッセル装置

ロータリー除雪車が誕生した際は前位側にロータリー装置が装備されるのみであったが、
後退時の雪の巻き込み防止のため簡易的なプラウが取り付けられるようになった。
ロータリー除雪車の発展と共に簡易プラウは本格的な除雪も行える開閉ウィングを備えたラッセル装置へと変遷し今日に至る。
ラッセル装置は以下の要素で構成される。

 

Vプラウ
雪を両脇に押し分ける。
複線区間では隣接線に雪が掛かるためVプラウではなく片流れプラウが使われる場合もある。

ウィング
翼を左右に広げることでより広い範囲の雪を押し分けることができる。

フランジャー
レール間を除雪する。レール面より低いため踏切や分岐器では格納する必要がある。

 

 

・段切装置

ラッセル装置やロータリー装置を使用して長期間除雪を行うと、軌道脇に側雪と呼ばれる雪の壁ができる。
側雪は雪崩れて線路を塞ぐ恐れがあるため、段切装置を用いてあらかじめ斜めに削り落とす。

 

 

・氷柱落とし装置

寒冷地ではトンネル内の湧水が凍結し氷柱が成長する。
成長した氷柱が列車へ衝撃するのを防ぐため、トンネル断面形状に合わせた氷柱落とし装置を展開した状態で走行することで氷柱落とし作業を行う。

 

 

参考文献

1)松田務 『モロ、ハイモ』, トワイライトゾ~ン マニュアル14, ネコ・パブリッシング, (2005)
2)井上浩『軌道モータカー入門 N-MCR-600形 (1)』, 新線路,49巻8号,鉄道現業社,(1995.8)
3)井上浩『軌道モータカー入門 N-MCR-600形 (2)』, 新線路,49巻10号,鉄道現業社,(1995.10)
4)井上浩『軌道モータカー入門 N-MCR-600形 (3)』, 新線路,49巻11号,鉄道現業社,(1995.11)