SW

架線延線車編成を構成する車両のひとつであり、SW(StretchWagon)と呼称される。銘板には『延線車』と表記されているように、架線の延線張り替え作業を行う車両である。
新幹線では高速運転のため、架線の部分張替が不可能であり、数km間をドラム単位で張り替える必要がある。
開業初期はこの作業をモーターカーや梯子、高所台を用いて行っていたが、年間約250㎞(1968年当時)という膨大な距離の架線張り替えをする上では、
・施工精度の向上
・張替の所要人工、及び経費節減と所要時間の短縮
・作業環境の改善(照明、足場、休憩設備)
の改善が必要であり、専用作業車による機械化が望まれていた。
この要求に基づき誕生した作業車の1つが本車である。

主用途はTWと編成を組んでのトロリ線張り替えとなるが、ちょう架線、補助ちょう架線の張り替えも可能であり、主要な装備として延線巻取機、引留装置、クレーン、接地パンタを備える。

富士重SWも他の同社製電気作業車と同様、生産時期によって大きくスタイルが異なっている。


第一世代


△京都鉄道博物館に所蔵されている同車の1/20模型

昭和42年6月に半編成(SW1両、TW2両)が静岡に試作配備され、2年がかりで訓練や工法研究を行った。
その後各部改良を行ったものが昭和43年度末から昭和44年6月にかけて追加で3.5編成、各電気所に配備された。

延線及び捲取用に油圧によるドラムブレーキ付きのドラムジャッキ(延線機)を備える。この延線機は延線及び捲取張力を一定にできるようになっている。
連絡装置として、運転室と作業台間にはインターホンを、各車両の相互連絡用に単信式の無線電話を備える。

架線延線車編成は以下のように両端にSWを配置する。

パターン1:SW-TW-TW-TW-TW-SW
パターン2:SW-TW-RW-RW-CW-SW
※CWは固定作業台を取り付けて使用する。

■ 諸元

全長 8400[mm]
全幅 3150[mm]
全高 4500[mm]
自重 22[ton]

■ エンジン

機関 185[PS]/1800[rpm]

■ 走行性能

最高速度 70[km/h]


第二世代

平成4年よりJR東に導入されたモデル。のちにJR西もほぼ同型を採用した。
当時の富士重工カタログによると型式は『SW-1』となっている。
(これはTWも同様にTW-1となっている。)
車両前部に高運転台、後部には休憩室を備える。
このモデルでは重連統括制御を採用し、一人でも編成運転が可能となっている。
※従来は各車にオペレータを配置し、無線等で連絡を取りながら同調運転を行っていた。

引留装置の高機能化により、延線時の伸び量計測や一定張力の保持が可能となった。
また作業台備付の有線式リモコンを用いての運転も可能となり、作業性が向上した。
通常の運転台もツーハンドル式となっており、運転・装置制御の電子化が進んだと思われる。

加えて車両前後端には衝突防止センサが備わっており、編成分割作業時の安全性を高めている。

作業時の編成は第一世代同様のSW2両とTW4両のほかに
一部のTWをMMWやMTWで置換したパターンが存在している。

加えて塗装色も従来保線機械の黄色一色から、JR東はピーコックグリーン主体、JR西はスカイブルーおよびシルバー主体の配色となった。

■ 諸元

重量 14.0[ton]

■ 走行性能

勾配 牽引重量 単車積載時速度 重量牽引時速度 積載荷重
水平線 20[t] 70[km/h] 60[km/h] 3[ton]
15‰ 20[t] 55[km/h] 30[km/h] 3[ton]

 


参考文献
1.日本国有鉄道新幹線総局『新幹線ハンドブック』財団法人 交通文化振興財団,1977年,p.188
2.新幹線総局『新幹線十年史』財団法人 交通文化振興財団,1975年,p.624
3.藤橋芳弘「カテナリ・メンテナンス①」『鉄道ファン』11月号,交友社,1992年,p.62-65
4.富士重工カタログ 電気作業車(延線車) [型式:SW] 5.富士重工カタログ<新型>電気作業用軌道モータカー(延線車)
6.滝沢伸一,『架線延線車』,鉄道電気,第20巻 9号,鉄道現業社,(1967/9)
7.佐々木勉,『架線延線車を使用して』,鉄道電気,第22巻 11号,鉄道現業社,(1969/11)
8.小林輝夫,藤橋芳弘,[『-新型-新幹線用架線延線車』,鉄道電気,第45巻 5月,鉄道現業社,(1992/05)