MW


■概要
主に電車線の検査、保全作業を行う保全車である。
MWはMaintenanceWagonの略である。

高速運転の新幹線では、電車線の線条、金具類の摩耗損傷は重大事故に発展する恐れがある。
そこで新幹線では夜間のき電停止時間にこれら設備の保全を実施している。
1978年時の東海道新幹線では各電力検査班が担当する保全作業の範囲は約25kmとなっており、検査には安全と能率を考慮した機械化が開業以来求められていた。
当初は建設工事に使用したモータカーを引き継いで木製タワーを荷台に縛り付けて使用していたが、後に手動昇降作業台を設置したものが開発された。さらにその後、車体長と同じ広さの固定作業台を設けたモータカーが登場し、1点集中型の検査から架線周辺を幅広く見るスタイルに移行した。
これらモータカーベースの車両をより大型化し、連続摩耗測定器の搭載、長大勾配区間や長時間低速運転の耐久性を備えた車両として専用に開発された車両がMWである。

保全範囲の関係上、横取基地での使用が考慮されていることから、他の電力保守用車に比べて短い全長と横取車輪の装備が特徴である。

国鉄時代とJR化後で大きく外観が異なる。本稿では便宜上登場順に第〇世代として扱う。JR化後はJR東日本に導入されている。

 


第1世代MW

△旧MW 文献3)より

■概要
前述の開発経緯の元誕生した車両。
1978年には東海道新幹線に計7両の配備が確認されている。

■構造
固定式の作業台を装備してる。
作業台床面の高さはレール面から3,650mmとなっており、これはちょう架線支持点(レール面から6,500mm)を考慮した値となっている。
運転室は車両中央の作業台上に配置されている。
配備地が横取基地であるため、離線用に油圧自走式の車輪を装備する。

■ 諸元

重量 15.0[ton]

 

■ 走行性能

勾配 速度
水平線 70[km/h]
15‰ 45[km/h]

 

MW-1

MW-2


 

第2世代MW

△新MW

■概要
JR化後に導入された車両で運転台が両運転台となっている。
JR東日本で導入が確認されている。MWとMW-Kの2種類の型式が確認されている。

■構造
バケットが装備され高所作業が可能となっている。

 

■ 諸元

重量 17.0[ton]

 

■ 走行性能

勾配 牽引重量 単車積載時速度 重量牽引時速度
水平線 20[t] 70[km/h] 65[km/h]
15‰ 20[t] 55[km/h] 30[km/h]

 

MW-K


MW


参考文献

1.ドクターイエロー&East-i 新幹線事業用車両徹底ガイド p49「鷲宮保守基地 保守用車カタログ」
2.牧野秀臣『新幹線電車線路保全作業の機械化』電気鉄道,32巻,12号,鉄道電化協会,(1978.12)
3.富士重工カタログ 電気作業車(保全車) [型式:MJR