07_道床交換作業車


 

■概要

道床のバラストはマクラギを保持し、列車の重量を均等に受け止めているが、列車が通過を繰り返すことで次第にバラストの細粒化や土砂混入が発生していく。

こうしたバラストの劣化が進行すると、軌道の狂いや噴泥が発生しやすくなる。
多少の狂いはマルチプルタイタンパーにより修正できるが、狂いが大きくなると修正が困難になるため、古いバラストを掻き出して新しいものへと交換する作業(道床交換作業)が必要となる。

この掻き出し作業を機械化したものが道床交換作業車である。

道床更換車、バラスト作業車などとも呼ばれる。

 

■構造

現在の日本で主流のチェーンを用いた道床交換作業車の構造は以下の通り。

 

アンダーカッター方式を採用したMMJ-2001

 

・スクレイパーチェーン

バラストの掻き出しに用いる、爪の付いたチェーン状の大型装備。
マクラギ下に挿入し、古いバラストを掻き出す。
特にチェーンソーのような片持ち式のものは、アンダーカッター方式と呼ばれる。

 

・ベルトコンベア

掻き出した古いバラストを搬送し、線路外やトロなどに移送する。
機種によってはコンベアの途中に篩い分け装置を持ち、再使用可能な大きさのバラストを選別して再び道床へ戻す機能を持つものも存在する。
こうしたバラスト篩い分け機能を持つ道床交換作業車は、特にバラストクリーナーと呼ばれる。

 

■文献

根来 幸次郎『鉄道保線施工法:最新土木施工法講座 第14巻』,1959年,山海堂.

松田 務「バラクリ3年…:今年は「バラスト=クリーナー」」『トワイライトゾ〜ンMANUAL』6号,1997年,pp.182-193.

三和 雅史・松本 麻美・矢坂 健太・津田 晃宏「軌道保守用車の運用を効率化する」『RRR』74巻11号,2017年,pp.12-15.(https://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2017/0004006819.pdf

伊岳商事HP「道床交換機」https://www.itake.co.jp/product/roadbed_exchange/(2023年10月28日取得).

 


 

スイスの保線機械メーカー。道床交換作業車のパイオニアであるScheuchzerの流れを汲む。

 


 

オーストリアの保線機械メーカー。3機種の輸入が確認されている。

 


 

日本で最初にオンレール式のバラストクリーナーを製造した。

 


 

1960年代から1990年代にかけて多数の機種を手掛けた、代表的なメーカー。

 


 

地下鉄向けの吸引式道床交換作業車の作例がある(吸引装置は兼松エンジニアリングが製造)。

 


 

 

1990年代に2機種の作業車を製造している。

 


 

1990年代から多くの道床交換作業車を手掛けたメーカー。重機ベースの軌陸型も製造していた。

 


 

1992年から1994年頃にかけて、JR東海と共同でトンネル用の道床交換作業車を開発した。

 


 

(現:Harsco Rail)

アメリカの保線機械メーカー。日本にはミニ新幹線建設工事のため1機種が導入されたのみである。

 


 

(現:総合車両製作所)

2000年頃に地下鉄向けの吸引式道床交換作業車を製作している。

 


 

(現:NICHIJO)

2006年に丹那トンネル向けとして1機種を製造している。

 


 

現在、軌陸型を含め多数の機種を供給しているメーカー。