MTT-17

(写真:MTT-17A。石原一比古 『電マルの生いたち』, 新線路, 32巻4号, (1978年4月),p25より)


昭和39年に登場した電マル。MTT-15Aを改良したMTT-17A、17Aの油圧系統、電気回路、操作装置などを改良したMTT-17Bがある。

前型のMTT-15まで前後車軸間にあったタイピング装置が本車では車体の最前部に移動している。これは後の芝浦製電マルの基本構造となっている。
タイピング装置が前部に移動したことで、それまで行っていた仮づめやジャッキを多用するこう上が不要になり効率が上がっている。
エンジン性能は76.5PS/1800rpmに、発電機は30kVAを搭載し性能の強化が図られており、MTT-15Aで枕木1本あたり15秒だった突き固め時間が12秒程度に短縮されている。
また、急曲線でタイピング装置が横にずれることを防ぐため、タイピング装置を曲線半径に応じて首振りできるようになっている。

MTT-17Aは昭和39年に4両製作され、
MTT-17Bは昭和40~42年に75両製作された。

諸元


MTT-17A
全長×全幅×全高 7.2m×2.2m×2.7m
総重量 13,000kg
原動機 型式 いすゞDA120P
ディーゼル
定格出力 76.5ps/1,800rpm
3相交流
発電機
20KVA-3φ-220V
-60c/s-4P-1,800rpm
油圧装置 油圧ポンプ
駆動用
電動機
無し(原動機より出力)
油圧ポンプ 低圧用:58L/min
高圧用:93L/min
常用圧力 低圧用:70kg/cm2
高圧用:105kg/cm2
タイピング
装置
起振用
電動機
1500W-3φ-200V
-60c/s-2P-3,400rpm
(8台搭載)
ツール数 16本
上下昇降用
電動機
無し
伝達機構 油圧コントロールバルブ
により左右2個の油圧
シリンダに圧油を送り
リンク機構を介して
タイタンパを上下する
ほか左右締固め装置
ごとに油圧調整可能
さらに油圧シリンダーで
タンピングバーの間隔を
拡大することができる
走行装置 走行用
電動機
無し(エンジン駆動)
伝達機構 いすゞトラック用クラッチ
変速機(前4後1段変速)
および逆転機を介して
ローラチェーンで
後車軸駆動
制動装置 4輪制動
枕木間の
移動
油圧モータより減速機変速機PTD逆転機
前車軸駆動

参考文献


1)石原一比古 『電マルの生いたち』, 新線路, 32巻4号, (1978年4月)
2)伊能忠敏 『新型電氣マルタイの試験』, 新線路, 18巻2号, (1964年2月)
3)松田務 『マルタイカタログ』, トワイライトゾ~ン・マニュアル5, ネコ・パブリッシング(1996年)
4)杉下孝治  『マルタイの変遷』, 新線路, 35巻9号, (1981年9月)
5)『保線データ・シートNo.8 保線機械その1』,鉄道線路,13巻7号(1965.7)