波状摩耗除去を目的とした短距離の削正は従来ヨシイケ科研製の6頭式削正車によって行われてきた。
しかしヨシイケ科研製削正車の老朽化や、波状摩耗対策、作業環境改善のニーズの高まりからRGS-U4の開発が行われた。
走行動力には電気モーターを採用し、油圧機器を減らすことで環境に配慮した構造としている。
保守基地から現場への回送は軌道モータカーの牽引によって行われるが、現場での短距離回送及び削正作業時は自走が可能である。
回送・作業ギアそれぞれ7段変速が可能で、最高速度は回送5[km/h]、作業0.8[km/h]である。
削正砥石はφ125[mm]で、計4頭を備える。
削正パターンは運転室内のタッチパネルより設定を行い、削正砥石前後の基準ローラーでレールの摩耗状態を監視することで自動制御を可能としている。
△削正ユニット 砥石の隣では基準ローラーによる測定が行われる。
タンク容量400[L]の高圧散水装置を備え、軌道共絡やTC省力化軌道の不織布からの発煙防止のために散水が行われる。
車体4隅には脱線復旧用アウトリガを備える。アウトリガシリンダはロングストローク仕様で、陸送用トレーラーへの積載時にも使用できる。
2016年3月に1号車が製造され、2019年4月頃より本線運用が開始された。
2019年9月現在、施工前後データを蓄積し仕上がり品質の検証が行われている。
諸元
■ 寸法・重量
長さ | 5,960[mm] |
幅 | 2,600[mm] |
高さ | 3,050[mm] |
軌間 | 1,067[mm] |
自重 | 10[t] |
■ 削正装置
最大削正量 | 0.1~0.3[mm/パス] |
削正速度 | 100~420[m/h] |
削正モーター | 3.7[kW]/3400[rpm] |
削正砥石 | φ125[mm](ねじ込み式) |
削正範囲 | -19[°]~19[°] |
削囲パターン登録数 | 30 |
■ 発電機
メーカー | デンヨー |
出力 | 45[kVA] |
参考文献
1)伊藤祥展・豊福康一・岩橋宏樹『東京支社におけるレール削正作業の取組み』,新線路,73巻9号,鉄道現業社,(2019.9)
2)保線機器整備『PRODUCT CATALOG』,(2019)