MINI8


8頭式レール削正車。
同じ8頭式レール削正車のLRR8は2両1編成で組成されるのに対し、MINI8は1両編成で、回送走行・削正作業をコンパクトに行えるのが特徴である。
主にレール表層の疲労層除去や急曲線の波状摩耗除去を目的に使用される。

1997年に1両目が製造されて以降、日本向けに計10両が製造されている。

 


MINI8 M-1

日本に初導入されたMINI8で、1997年に導入された。
日本スペノ所属で、リース用として運用された。


△MINI8 M-1 MUSTAFA GÜRSOY『T.C. YILDIZ TEKNİK ÜNİVERSİTESİ FEN BİLİMLERİ ENSTİTÜSÜ KENTİÇİ RAYLI SİSTEM HATLARINDA ÜSTYAPI BAKIMI VE MALİYETLERİ: AKSARAY HAVALİMANI HATTI ÖRNEĞİ』,(2011)より

 


MINI8 M-2+M-3 / M-4+M-5

JR西日本向けに在来線の主要幹線用に導入されたMINI8。
MINI8を併結し、2両1編成としたのが特徴的で、2編成4両が1999年に導入された。


△M-4とM-5の併結により固定編成となっている

 

 


MINI8 M-6/M-7

JR東海の在来線としては初導入のスペノ製削正車で、2000年にM-6が、翌2001年にM-7が導入された。
昭和50年代に東海道線の重軌条化で敷設されたレールが一斉に交換時期を迎えることから、レール削正によりレールの延命を行い、レール交換作業量を平準化することがが目的である。
1両1編成で導入されたが、現在は2両1編成で運用されているようである。


△M-6とM-7の編成

■キャビン
走行・削正の操作を行う運転室で、Aキャビン(主制御キャビン)とBキャビン(従制御キャビン)がある。
放水銃が付いている側がAキャビンで、Bキャビンではコンピューターの設定スイッチ類が省略されている。

■駆動装置
油圧ポンプ・モーターを使用した油圧走行方式である。

■削正砥石
ゲージコーナー削正用のスペシャルユニットとレール頭頂面削正用のノーマルユニットをそれぞれ4頭づつ装備している。

■散水装置
削正粉塵の冷却や可燃物への延焼防止、レール及び締結装置の洗浄のために床下に高圧散水装置を装備している他、延焼物消化用のリモコン放水銃をキャビン正面に装備している。
散水用タンクは両キャビンの下に1個づつ設置されており、3000[L]の容量がある。

■短波摩耗測定装置
左右レールそれぞれに検測子を接触させ、短波摩耗を測定できる。

 

■ 寸法・重量

長さ 12,800[mm]
2,400[mm]
高さ 3,360[mm]
軌間 1,067[mm]
最小走行半径 80[m]
空車重量 33.5[t]
装備重量 38.0[t]
第1軸重 17.8[t]
第2軸重 20.2[t]

 

■ 走行性能

勾配 単車時
水平線 50[km/h]
35‰ 24[km/h]

 

■ 削正装置諸元

最小削正半径 120[m]
標準削正速度 4~6[km/h]
標準削正量 0.005~0.015[mm/パス]

 

■ 削正装置(ノーマル砥石)

頭数 4[頭]
削正砥石 φ180×105[mm](セルフセンタリング方式)
削正範囲 -20[°]~15[°]
最大出力 15[kW]
定格出力 11[kW]
回転数 3,600[rpm]

 

■ 削正装置(スペシャル砥石)

頭数 4[頭]
削正砥石 φ260×35[mm](センターボルト方式)
削正範囲 -70[°]~-5[°]
最大出力 11[kW]
定格出力 9[kW]
回転数 3,600[rpm]

 

 

 


MINI8 M-8 ~ M-12 (欠番)

MINI8 M-13/M-15

JR九州の在来線としては初導入のスペノ製削正車で、2008年にM-13が、2015年にM-15が導入された。
JR九州ではレール表面の疲労層から発生するシェリングが増加し、レール折損事故が発生するなど、その管理に労力と時間を要していた。
今まではシェリングを除去する方法がレール交換しか無かったが、削正車を導入することでシェリングの除去やレール寿命の延長、騒音の低減を目指した。
シェリングは列車が高速で運転される線区に発生しやすいことから、鹿児島本線 小倉~鳥栖間、日豊本線 小倉~大分間及び長崎本線 鳥栖~長崎駅間に重点的に投入されることとなった。
1両1編成で運用されている。


△M-15

 

■削正砥石
ゲージコーナー削正用のスペシャルユニットとレール頭頂面削正用のノーマルユニットをそれぞれ4頭づつ装備している。

■火花飛散防止装置
火花が水平方向に飛びやすいノーマル砥石部に水冷式の火花ガードが装備されている。

■検測装置
短波検測による波状摩耗測定装置(DLM-4)が装備されている。

 

■ 寸法・重量

長さ 13,910[mm]
2,460[mm]
高さ 3,601[mm]
軌間 1,067[mm]
重量 40.4[t]

 

 


MINI8 M-16

JR四国では従来から使用してきたヨシイケ製6頭式削正車の老朽化に伴い、初のスペノ製削正車として2019年10月に導入された。
カラーリングは「月光に照らされた瀬戸内海の海面」がモチーフとである。
用途はシェリング・波状摩耗の除去で、主に予讃線で運用される。


△M-16

 

■キャビン
走行・削正の操作を行う運転室で、Aキャビン(主制御キャビン)とBキャビン(従制御キャビン)がある。
運転席左側に速度制御のポテンションメーター、右側に電磁弁エアーブレーキ、前側に自動エアーブレーキが配置されており、ここで運転操作を行う。
運転席右側上部にはタッチスクリーンおよびESAモニターが配置され、走行・削正台車操作・砥石削正圧力及び傾斜角度の調整が可能である。
また、削正ユニット内に取り付けたカメラでキャビンからレール削正面を確認することができる。

■削正砥石
ゲージコーナー削正用のスペシャルユニットとレール頭頂面削正用のノーマルユニットをそれぞれ4頭づつ装備している。

■散水装置
削正粉塵の冷却や可燃物への延焼防止、レール及び締結装置の洗浄のために床下に高圧散水装置を装備している他、延焼物消化用の可搬式放水銃を装備している。

■脱着式ダストコンテナ
瀬戸大橋線での作業を考慮して削正粉塵を回収することができるダストコンテナを装備している。

■短絡装置
急勾配区間で滑走した場合の安全対策として、運転席のスイッチで短絡走行に切り替えることが可能である。

■検測台車
M-16には検測台車が設置されておらず、別途測定装置を準備して測定する必要がある。

 

■ 寸法・重量

長さ 14,610[mm]
2,590[mm]
高さ 3,740[mm]
軌間 1,067[mm]
車輪径 630[mm]
自重 41.7[t]

 

■ 削正装置(ノーマル砥石)

頭数 4[頭]
削正砥石 φ180×105[mm](セルフセンタリング方式)
削正範囲 -20[°]~15[°]

 

■ 削正装置(スペシャル砥石)

頭数 4[頭]
削正砥石 φ260×35[mm](センターボルト方式)
削正範囲 -70[°]~-5[°]

 

■ 走行性能

勾配 単車時
水平線 50[km/h]以上

 

 

参考文献
1)NIPPON SPENO『日本市場におけるスペノレール削正車の技術革新』
https://www.speno-jp.com/ja/
2)MUSTAFA GÜRSOY『T.C. YILDIZ TEKNİK ÜNİVERSİTESİ FEN BİLİMLERİ ENSTİTÜSÜ KENTİÇİ RAYLI SİSTEM HATLARINDA ÜSTYAPI BAKIMI VE MALİYETLERİ: AKSARAY HAVALİMANI HATTI ÖRNEĞİ』,(2011)
3)『在来線レール削正車の安全祈願祭が開催された』,新線路,53巻,7号,鉄道現業社,(1999.7)
4)『JR東海でレール削正車の訓練が始まった』,新線路,54巻,4号,鉄道現業社,(2000.4)
5)進義隆『レール削正車の導入』,新線路,54巻,7号,鉄道現業社,(2000.7)
6)坂田正隆『JR九州に在来線用レール削正車(mini8)が導入される』,新線路,62巻,4号,鉄道現業社,(2008.7)
7)『JR九州で在来線用レール削正車の安全祈願神事が開催された』,新線路,62巻,4号,鉄道現業社,(2008.7)
8)田嶋重則『JR九州における在来線レール削正』,新線路,62巻,11号,鉄道現業社,(2008.11)
9)山田知宏・佐藤登志勝『在来線における効率的な作成方法の提案』
10)下野桂馬『新型レール削正車の導入』,新線路,73巻11号,鉄道現業社,(2019.11)
11)下野桂馬『新型レール削正車(MINI8)の導入』,新線路,74巻6号,鉄道現業社,(2020.6)