55_無軌条電車の保守用車


■概要
無軌条電車とはいわゆるトロリーバスの事で、本邦においてはその名の通り路面電車と同様の都市鉄道として扱われており、建設や運営も軌道法に準拠していた。昭和39(1964)年に関西電力による観光客輸送用のトロリーバスが開業すると鉄道事業法にも準拠する様になる。

トロリーバスにも保守用車は存在する。線路がないため架線点検や資材輸送を目的としたものが多いが、モノレールや新交通システムに見られる案内輪すら存在しないため、見た目は通常の自動車そのままである。故に本DBでは、トロリーバスの施設維持を主目的とした個体のみをトロリーバスの保守用車と見做し取り扱うものとする。



保有事業者:関西電力㈱
ベースシャーシ:三菱自動車工業㈱ ザ・グレート(型式:U-FR415HJ)
架装メーカー:㈱犬塚製作所

関西電力が関電トンネルトロリーバス線現役当時に保有していた車両で、高所作業台が架装されており、架線点検、高所除雪、非常時のトロリーバス車両牽引を主目的とする。現在はトロリーバス線廃止に伴い廃車された模様。



関電トンネルトロリーバス現役時代、除雪作業および架線点検作業に使用される当車両。関西電力株式会社(2018) 03:00および03:12より引用

架装メーカーは空港用タラップ車等、高所作業台架装を得意とする犬塚製作所(東京都品川区)で、同社の鉄道向け製造例は当車両が唯一と思われる。


当車両の銘板(架装メーカー


参考文献
1)吉川文夫『日本のトロリーバス』, 電気車研究会(1995)
2)関西電力株式会社『電力の匠 トロリーバスの安全を支える舞台裏 ~受け継がれる安全運転への想い~』,https://www.youtube.com/watch?v=N9Eyesxh6F4(2018年4月13日投稿) ※2022年10月1日閲覧