72_軌陸高所作業車


高所作業装置つき軌陸トラック、即ち高所作業車に軌陸ユニットを装備したものを指す。
※軌陸トラックの解説については、”Category:71 軌陸トラック“を参照の事。

■概要
厚生労働省が管轄し、労働者の安全確保を目的とする「労働安全衛生法」では、同法施行令において地面からの高さ2m以上で行う作業の事を「高所作業」と定義しており、作業に際して様々な条件が規定されている。
高所作業において、作業者の高所移動のために用いられるのが高所作業車であり、車輌の基本的な仕様についても同法における「高所作業車構造規格」にて各種規定されている。
同規定には漏れるが、他にも作業台を地面と水平に保つレベリング装置、動力源が故障した場合において作業員の高所閉じ込めを防止する第二動力装置など、様々な安全装置を備えている。

高所作業車は「トラックマウント式」と「自走式」に大別される。前者はトラックに高所作業装置を架装したものを指すが、後者は高所作業装置にターレー程度の走行能力を持たせたものを指す。
自走式は主に造船所や工事現場の構内など、使用環境が限定的であるため、一般的に高所作業車とはトラックマウント式を云う場合が多い。本項においても「高所作業車」とはトラックマウント式を指すものとする。

■高所作業車(垂直上昇式)について
高所作業車は高所作業装置の構造により「垂直上昇式」「ブーム式」に大別できる。
本項では、垂直上昇式の解説を述べる。


垂直上昇式とは、トラックのフレームに架装された高所作業装置および作業床が、はしご状の昇降装置により上下昇降する構造のものを指す。昇降装置の構造から「シザース式」とも呼称される。

構造は下記の通り。
・軌陸ユニット/転車台…Category:71 軌陸トラックを参照の事。
・作業床…作業員が搭乗する作業台の事。垂直上昇式の場合、数人が搭乗できる広めで柵付きの作業床が載る場合が多く、一般的に「プラットホーム」と呼称される。(メーカーにより「ステージ」「デッキ」等と呼称される場合もある。
・昇降装置…垂直上昇式の場合はシザーリフトとも呼称される。主に油圧が昇降の動力源となる場合が多く、写真の車両にも油圧シリンダーが見える。
・接地装置…アースの事。誤って架線が加圧されていた際に地面へ電流を逃がし作業員の感電を防止する。パンダグラフ状のものが多く、Category:04 電気作業車にも同じ目的の装置が搭載されている。

参考文献
1)日本自動車車体工業会『働くクルマたち 第19回:高所作業車』,車体NEWS,2017年冬号,一般社団法人日本自動車車体工業会(2017.12)


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