MC155


■概要
東急電鉄で使用されていた道床路盤改良工事における発生土砂運搬用の残土コンテナ車である。

1970、1980年代頃の道床改良工事等で発生する土砂を搬出する方法として現場付近にダンプトラックによる搬出可能な道路がある場合は線路脇にベルトコンベアを並べて現場からダンプへと積込をしていた。搬出道路がない場合は現場でダンプトロに積んで機械基地へ入庫させダンプトロからいったん基地内に取卸した後、ショベルでダンプトラックに積み替えて搬出を行なっていた。

しかし基地内でのショベルによる積み替え作業は騒音と埃が酷く基地周辺の住民から度々苦情が出ていた。そのため昭和55(1980)年に既に周辺が住宅街になっていた梶が谷に保線機械基地を新設する際にショベルによる積み替えを行わずに済む方法としてコンテナ方式を採用した。残土コンテナ車はこれに合わせて製造されたトロである。

発生土砂は残土コンテナ車に積まれて基地へと入庫する。上部のコンテナは台車と分離できる構造となっており基地の一角に設置された走行橋形クレーンによりコンテナ部分を吊り上げダンプトラックの荷台の上に取り卸す。コンテナ側面のロックピンを外して徐々にクレーンでコンテナを吊り上げると荷の重さでコンテナの底板が開いて発生土砂がダンプトラックに積み込まれる仕組みとなっている。

この方法により騒音と埃は殆ど出さずにダンプトラックに発生土砂を積み替えることが可能となっている。

なお、コンテナを外すと台車部分は資機材運搬用の平台車として使用できる。現在その姿をみることができるものはコンテナを除いた平台車部分である。

 

参考文献
1)河合徹・雨宮功『東急の道床路盤改良の一方法』,鉄道線路,第30巻12号,日本鉄道施設協会,(1982.12)
2)東急100年史 Web版『25.鉄軌道事業 歴代車両』
https://www.tokyu.co.jp/history/pdf/tokyu100th_data_25_reki-syaryou.pdf(2023.07.12)


 

伊豆急行

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