国鉄機械番号銘板


■概要
保守用車の個体識別に大切な機械番号。
その中でも国鉄やJR所有の車両に貼り付けられる機械番号銘板について解説する。

△車体側面に取り付けられる銘板3点セット(左から製造所銘板・性能表銘板・機械番号銘板)

 

■あらまし
国鉄では保守用車の技術開発が急速に進んだ時期において、作業に対しての技術開発に重点が置かれ、各機械で構造的に共通する部分の統一性が無く不合理な点が多々あった。
そのため共通点を整理統合し機械の製作を標準化することを目的に 国鉄施設局保線課『軌道上を走行する保線用機械設計標準』,(1970) が作成された。
これはいわゆる”共通仕様書”で保守用車の各部位ごとに標準的な機能・構造が定められている。
その中には「機械番号銘板」の項があり、「機械には,付図により,機械番号銘板を側面の見易い位置に取付けること.」と記載されている。

また、坂芳雄・椎名公一『保線機械と使用法』,山海堂,(1970) の解説によると、「機械ごとに機械番号を定め,その機械番号に固定財産種目及び機器名称(基準規定)に定める類別符号,種別番号及び名称番号を付して機械に表示し,機械の管理に役立てる.」とある。

国鉄時代に導入された保守用車はこの規定に沿って機械番号銘板が取り付けられている。民営化後の規定については不明だが、従前の規定に準じた規定と推定される。

 

■銘板記載内容詳細

△国鉄機械番号銘板

各数字が下記の通りの意味を持っている。

14 は鉄道管理局等のコード番号(事務管理コード)
08 は機器名称基準規定の類別番号
16 は種別番号
02 は名称番号
0615 は機械番号

下表から各数字の意味を読み取ると上記銘板は

14 鉄道管理局コード番号 青函船舶鉄道管理局所属
08 類別番号 土木機械
16 種別番号 工事用車両
02 名称番号 軌道モータカー
0615 機械番号

であることが分かる。
機械番号銘板は金属製の物が多く、配置箇所が変更になっても更新されないことが多いため、鉄道管理局コード番号から新製時の配置箇所を知ることが出来る。
また、改造などにより作業機器が取り払われてトロと化していても元の車種を判断することが可能である。

 

■ 鉄道管理局所コード表

11 釧路鉄道管理局
12 旭川鉄道管理局
13 北海道総局(札幌鉄道管理局)
14 青函船舶鉄道管理局
21 盛岡鉄道管理局
22 秋田鉄道管理局
23 仙台鉄道管理局
30 新潟鉄道管理局
41 高崎鉄道管理局
42 水戸鉄道管理局
43 千葉鉄道管理局
45 東京北鉄道管理局
46 東京南鉄道管理局
48 東京西鉄道管理局
98 新幹線総局
51 長野鉄道管理局
52 静岡鉄道管理局
53 名古屋鉄道管理局
54 金沢鉄道管理局
61 大阪鉄道管理局
62 天王寺鉄道管理局
63 福知山鉄道管理局
64 米子鉄道管理局
65 岡山鉄道管理局
70 四国総局
80 広島鉄道管理局
91 九州総局(門司鉄道管理局)
92 大分鉄道管理局
93 熊本鉄道管理局
94 鹿児島鉄道管理局

 

■ 固定財産種目及び機器名称表(抜粋)

類別 種別 名称
06 荷役機械 28 車両移動装置 01 入換動車
※自重2t未満のものを除く
02 キャプスタン
05 車両移動機
※自重2t未満のものを除く
06 貨車加減速装置
07 貨車減速装置
08 貨車停止装置
09 車両搬送装置
99 その他
08 土木機械 16 工事用車両 01 軌道ケン引車
02 軌道モーターカー
※定格14.7kW未満のものを除く
03 架線保守車
04 鉄製トロ
※ボギー式に限る
05 橋リョウトロ
08 ダンプ自動車
14 工事用ディーゼル機関車
17 軌道タンク車
※レール洗浄用のものに限る
18 軌道作業車
※レール洗浄用のものに限る
19 ダンパ
20 バラスト積換機
22 軌道トラック
23 トンネル巡回車
24 バラスト運搬積卸車
25 機械式横取装置
99 その他
08 土木機械 20 軌道用機械 01 バラスト更新機械
02 道床積込機
03 マルチプルタイタンパ
04 軌道コウ上機
05 バラスト処理機
06 軌キョウ運搬機
※動力付きのものに限る
07 軌キョウ組立敷設装置
09 小径砕石散布車
10 軌キョウ敷設装置
11 マクラギ更換機
※手動用のものを除く
12 波状摩耗削正機
※簡易なものを除く
13 犬クギ打機
※手動用のものを除く
14 犬クギ抜機
※手動用のものを除く
17 ボルト緊解機
※パワーレンチを含み
簡易なものを除く
18 軌道整正器
19 レール積卸機
20 軌道地固め機
21 波状摩耗削正車
※エンジン定格出力
200PS未満のものを除く
22 バラストスイーパ
※被けん引方式のものに限る
23 バラスト作業車
24 軌道作業用電源車
99 その他

 

■民営化後の機械番号銘板

・JR北海道の例(鉄製トロN型)
同様の番号体系を維持していると推定される。

 

・JR東日本の例(ENR-1000)
同様の番号体系を維持していると推定される。

 

・JR東海の例(HDMB-18MP)
同様の番号体系を維持していると推定される。

・JR西日本
少数ながら製造時期が古い保守用車に銘板が確認されている。
最近の保守用車には類似書式の銘板は確認できていない。

・JR四国
少数ながら製造時期が古い保守用車に銘板が確認されている他、類似書式として下記に示す1例が確認されている。
四国の鉄道管理局は四国総局のみだったため、鉄道管理局所コードを記載する箇所に「四国」と記載してあるのが特徴的である。

・JR九州
類似書式の銘板は確認できていない。

 

参考文献
1)日本国有鉄道『鉄道法規類抄』,日本国有鉄道総裁室文書課,(1966[最終加除1986-7])
2)坂芳雄・椎名公一『保線機械と使用法』,山海堂,(1970)