保守用車の向きと構成要素


Q.「WD-H28ASの銘板ってどこだっけ?」
A.「運転室後妻面の2-4位側だよ」

 

上記のやり取りであなたは銘板の位置が分かりましたか?
これを機に保守用車トークをする上で欠かせない保守用車の向きと構成要素を覚えましょう!

 

■保守用車の向き
保守用車は車種によって大きく形態が異なるがここでは軌道モータカーを代表例として解説する。

△車両の位置名称

 

・保守用車の前位/後位
保守用車の前側を前位、又は1端、1エンドと、後ろ側を後位又は2端、2エンドと呼称する。
ここで難しいのが”保守用車のどちら側が前側か”という問題である。保守用車は運転室が車体前部/中央部/後部いずれにも搭載される場合があり、前後の区別に使いずらい他、作業向きによって決定される車種も存在するためである。
代表的な車種の見分け方を下記に示すがこの限りでは無いので注意が必要である。

 

軌道モータカー 明確な要素による見分けが難しく、
後述の1~4位の車体標記もしくは雰囲気を基に判断する。
軌道モータカー
ロータリー
ロータリー除雪装置が装備されているのが前位側である。
投排雪保守用車
(JR東日本所属の場合)
車体側面の黄帯が1段のみなのが前位側である。
電気作業車 2運転室構成の車種が多く、
前位側は大きい主運転室、
後位側が小さい副運転室となる場合が多い。
土木作業車 代表的な運転室が中央に配置された構造の場合、
機関室側が前位側、作業機側が後位側である。
確認車 箱型車体の確認車は前後の判別が難しい
確認車に限らず2運転室の保守用車は
エンジン始動操作を行う側が前位側の場合が多い。
道床交換作業車 掘削装置が装備されている側が前位側である。
近年は後進掘削方式の道床交換作業車が増えており、
作業方向と車両の前後は一致しない。
マルチプル
タイタンパ
前位側から順に
リフティング・ライニングユニット/タンピングツール/コンパクタ
と作業装置が配置される。
作業方向は前向きで車体側面に作業方向を示す矢印が標記されている場合も多い。
レール削正車 一般的なスペノ社製3車体レール削正車は前位側からA車+C車+B車の順で組成される。
A車は運転室付き動力車、B車は運転室付き削正車、C車は運転室無し削正車である。

 

・保守用車の1位/2位/3位/4位
保守用車の前進時の進行方向に向かって右側を1位、左側を2位側、後進時の進行方向に向かって左側を3位、右側を4位と呼称する。
台枠やアウトリガに標記される場合が多い。

△車体側面の「2位」「4位」標記
△端梁とアウトリガ両方に「3位」の標記がなされている例

 

 

■保守用車の構成要素
保守用車は車種によって大きく構成要素が異なるが、軌道モータカーを例に主要な構成要素を紹介する。

△軌道モータカーの構成要素

保守用車の車体は大まかにメインフレームとなる台枠・運転室・機関室といった要素から構成される。(この限りではない保守用車も多い)
これらの要素の面はそれぞれマクラギ – 天地方向平面を「妻」、レール – 天地方向平面を「側」と呼称する。
この呼び方は鉄道車両が木造車体だった時代に木造建築に準じた部位呼称を使用し、それが継続していると推定される。
輪軸に関しては前位側から順に第1軸、第2軸…と付与される。

 

以上、簡単ではあるが保守用車の向きと構成要素について記載した。
保守用車の向きを覚えると下記記事と合わせて効率的な銘板回収が可能となるので是非参考にして欲しい。

参考:保守用車の銘板位置