PWR-32

Jane’s Information Group,『FUJI : Fuji Heavy Industries – Maintenance and line cars for Greater Cleveland Regional Transit Authority, USA』, Jane’s World Railways 1981-82(23),Sampson Low Marston&Co.,(1981) より


■概要
架線の架設および張り替えを主な目的とした箱型車体の電気式ディーゼル架線延線車である。電気式ディーゼルの通りディーゼルエンジンとモーターが動力となっている。
1979年に富士重工によって1両が製造、商社の日商(当時)を介して輸出されたのち、同年12月にアメリカ合衆国の大クリーブランド地域交通営団(RTA)へ納入された。
形式のPWRは大クリーブランド地域交通営団のPower&Way(電力・信号通信)事業部に配置されていることに由来すると思われる。
PWR-32は大クリーブランド地域交通営団による形式である。導入当初は番号が “201” であったが、しばらくしたのちに “032” へ変更され、その変更後の番号がそのまま事業者側の形式番号となった。

長らく大クリーブランド地域交通営団の安全運行を裏方で支えてきたが、老朽化が進み作業効率の低下が危惧されるようになったことから、2024年に代替車の入札を行い、将来的にガイスマー・アメリカ製の架線延線車に置き換わることが決定した。

「キャデラック」(”Cadillac”)や「ファスト・エディ」(”Fast Eddy”)といった愛称で親しまれている。

 

■構造
箱型車体の両方に運転台が設けられた両運転台構造を採用している。

車内には巻き取り機能付きの延線機が2台設置されている。屋根には架線の繰り出し・引き出し用の開口部と架線支持用ローラー、架線電圧・架線状態試験用パンタグラフが設置されている。屋根上全体が作業台となっており、車体のほぼ中央部には手動ながら回転式の張り出し作業台も別に整備されている。

架線の延線および巻き取りは時速約3.2 kmで実施され、その際は屋根上に設置の操作盤より運転可能である。

本形式は直流600 V通電状態での架線張替え作業(活電作業)を可能とさせるため、屋根上の作業台や室内壁、延線機など諸々の設備は絶縁仕様であり、それに応じて車体外板もFRPで覆っている。

駆動用のディーゼルエンジンはゼネラル・モータース製8V-71T型で、延線機と同じく車内に収納されている。

軌間1435 mmに対応したボギー台車を履いており、ディーゼルエンジンが発電した動力でモーターを稼働させて自走することが出来る。

 

■ 諸元

連結面間長 14263[mm]
車体長 15557[mm]
車体幅 2743[mm]
屋根作業台高 3733[mm]
屋根作業台幅 3048[mm]
台車中心間距離 10972[mm]
固定軸距 1676[mm]
車輪径 838[mm]
軌間 1435[mm]
自動連結器高 876[mm]
自重 約40.3[ton]

 

■ 走行性能

最高速度 72[km/h]

 

■エンジン

機関 ゼネラル・モータース8V-71T 350[PS]/2100[rpm]

 


■参考文献
1. 富士重工業車両事業部パンフレット『車両工場概要』
2. 日本鉄道車両輸出組合(1980)「クリーブランド向架線作業車」, 『鉄道車両輸出組合報』第126号, p.57-58
3. RTA『Summary of award – Procurement of a Line car』, Greater Cleveland Regional Transit Authority,(2024)
4. KronoGarrett『GCRTA Fuji Line Car – Draft#1』, 2013-11-29,https://www.weasyl.com/~kronogarrett/submissions/251293/gcrta-fuji-line-car-draft-1,(2013)
5. Jane’s Information Group,『FUJI Fuji Heavy Industries』, Jane’s World Railways 1981-82(23),Sampson Low Marston&Co.,(1981)