画像:伊藤 守「電マルを改造した道床交換機の開発」『日本鉄道施設協会誌』29巻11号,1991年,pp.45-46.より
本項では、JR西日本が芝浦製作所製電気式マルタイを改造して製作した道床交換作業車について述べる。
■概要
改造された道床交換作業車の側面図
作業方向は右側(後進)である
熊野 唯夫・伊藤 守「道床整理機・電マルを改造した道床更換機の開発」『新線路』45巻11号,1991年,pp.26-28.より
本機は道床交換作業の機械化を推進するため、海田市保線区が独自に改造・製作したものである。保有している機械を有効活用するため、ベース車には芝浦製作所製の電気式マルタイMTT-38NK-8が、スクレイパーチェーン部には植木組製の小型道床掘削機UK-3が用いられた1)。
スクレイパーチェーン部の構造図
熊野 唯夫・伊藤 守「道床整理機・電マルを改造した道床更換機の開発」『新線路』45巻11号,1991年,pp.26-28.より
改造された道床交換作業車の前面
伊藤 守「電マルを改造した道床交換機の開発」『日本鉄道施設協会誌』29巻11号,1991年,pp.45-46.より
前方はタンピングユニットが取り外され、スクレイパーチェーンや篩い分け装置が取り付けられている。スクレイパーチェーンは独立した2台を左右から挿入し、バラストを左右両方へ掻き出す独特の方式である。本機は後進掘削型であり、作業方向がマルタイ時代とは逆になっている。廃バラストは車体を貫通するウェストコンベアによって後方(作業方向前側)へと排出される。なお、本機は道床交換用装備を取り外し、マクラギ交換用の装備に取り換えることもできる2)。
本機は1991年頃に制作されたが、1997年時点では長らく休車状態になっていたとされる3)。
■諸元
本機の詳細な諸元は公表されていないが、作業速度は10m/hであったという4)。
■文献
1)伊藤 守「電マルを改造した道床交換機の開発」『日本鉄道施設協会誌』29巻11号,1991年,pp.45-46.小山 親義「道床バラストふるい分け装置の開発」『新線路』51巻8号,1997年,p.56.
2)熊野 唯夫・伊藤 守「道床整理機・電マルを改造した道床更換機の開発」『新線路』45巻11号,1991年,pp.26-28.
3)松田 務「バラクリ3年…:今年は「バラスト=クリーナー」」『トワイライトゾ〜ンMANUAL』6号,1997年,pp.182-193.
4)伊藤,前掲1.