McWILLIAMS Ballast Distributor

McWILLIAMS Ballast Distributor
日本鉄道施設協会「バラストデストリビューター」『鉄道線路』16巻1号,1968年,グラフp.より

 


 

McWILLIAMS Ballast Distributorは、Railway Maintenance Corporation製の道床交換作業車である。正式な形式名は不明。

 

■概要

バラストを掻き出す様子
日本鉄道施設協会「バラストデストリビューター」『鉄道線路』16巻1号,1968年,グラフp.より

一般的な道床交換作業車とは違い、マクラギ下バラストの掻き出しを行わず、その代わり道床肩または線間のバラストのみを深く掘削する機械である。

マクラギ下バラストを掻き出さないのは、かつてアメリカ製の道床交換作業車によく見られた構造であった。これは、線路の左右(道床肩または線間)のバラストだけでも交換できれば道床の排水が改善され、噴泥対策として一定の効果があるからである。ただし、これは対処療法的な策であり、道床が著しく劣化している場合はマクラギ下を含めた全道床交換が必要になる1)

 

■構造

概要図
秋元 清「バラストデストリビューター」『鉄道線路』16巻1号,1968年,pp.41-42.より

バケットコンベアを収納した回送状態
日本鉄道施設協会「バラストデストリビューター」『鉄道線路』16巻1号,1968年,グラフp.より

まず、線路左右のバラストにスクープを差し込み、前進しながらバラストを掻き出す。バケットコンベアで車体上へ運ばれたバラストは篩い分け装置にかけられ、廃バラストは線路外へ排出し、再使用可能バラストは軌間内外へ再散布される。作業走行は油圧モーター式である。回送時はバケットコンベアを収納することができる。また、転車装置も付いている2)

 

■運用

国鉄大阪工事局は1967年、このDistributorを試験的に導入した。国鉄では本機種を道床交換用ではなく、新線建設の際に貨車から線路脇にとり下ろしたバラストを掬い上げて整形する目的で導入したという。同年11月24日に京都〜山科間の線増工事で公式試運転が行われた記録があるが3)、その後の動向は不明である。

 

■諸元

諸元は以下の通り4)

全長 6350[mm]
全幅 作業時3350[mm]、回送時2860[mm]
全高 作業時3300[mm]、回送時4100[mm]
自重 14500[kg]
掘削深さ(マクラギ上面より) 610[mm]
作業速度 600[m/h]
回送時牽引速度 60[km/h]
エンジン GM 86[PS]/1800[rpm]

 

■文献

1)Klaus Rießberger・Rainer Wenty・Michael Zuzic「60 Jahre moderne Schotterbett-Reinigungsmaschinen」『EIK 2021 – Eisenbahn Ingenieur Kompendium』,2021年,DVV Media Group,pp.15-40.

2)秋元 清「バラストデストリビューター」『鉄道線路』16巻1号,1968年,pp.41-42.

3)秋元,前掲2.

4)秋元,前掲3.