軌陸ブラケットハンドリング車


架線柱に取付されている架線を支持する部分はブラケットと呼称され、軌陸高所作業車を用いて交換される。
この交換作業の少人数化を目的に、ロボットアーム搭載の軌陸高所作業車である軌陸ブラケットハンドリング車がJR西日本と、同子会社の西日本電気システム(NESCO)により開発された。


ブラケット運搬車(左)とブラケット取替車(右)。 写真の場合ベース車は両車ともいすゞフォワード。取替車のロボットアームが掴んでいるのがブラケットである
西日本電気システム株式会社パンフレットより引用

上記写真の様にブラケット取替車と運搬車が対になって運用され、載線し現場まで走行した後、運搬車の荷台に積まれたブラケットを取替車のロボットアームで掴み、架線柱まで移動させる作業を自動化している。
物体を自動で移動させる事をハンドリングといい、ハンドリングロボットは既に工場内の製品移動等で実用化されているが、今回の場合は自動でブラケットを移動させる事から「軌陸ブラケットハンドリング車」と命名された。

ブラケット交換作業は、架線をブラケットから外し当該部分の架線を仮支持した上で、高所作業台を用いてブラケットを架線柱に取付しているボルトを外し、新品のブラケットを取付するという手順で行われている。
軌陸ブラケットハンドリング車では、架線柱の仮支持、ブラケット旧品を架線柱から運搬車の荷台まで移動させる事、ブラケット新品を運搬車の荷台から架線柱まで移動させる事の自動化を行っている。ブラケット取外しおよび取付は従前と同じ人力作業であるが、移動の自動化により作業員2名の削減に成功し、本車を用いた計3名での交換作業が可能となった。



本車の稼働風景。ブラケット取替車に装備された架線支持アームで架線を仮支持し、架線柱からブラケットを人力で取外した後(写真上段)、取替車のロボットアームでブラケットを掴み運搬車へ移動させる。(写真下段) 写真は小山(2022)より引用

保守用車におけるロボットの搭載は国内では本車が初であり、令和3(2021)年のデビュー以来JR西日本管内で稼働中である。同社は令和4(2022)年度内で年間交換数の1/4超である580本交換を目標としており、今後の進化と活躍が期待されている。

■参考文献
1)小山広明,『ブラケットハンドリング車の開発及び導入について』,鉄道と電気技術,33巻8号,日本鉄道電気技術協会,(2022.8)
2)西日本電気システム株式会社パンフレット ※鉄道技術展・大阪(2022)で頒布されていたもの


※準備中 MCDB未投稿