75_軌陸クレーン


■概要
軌陸クレーンとは物品を吊り上げるクレーン装置をつけて道路上を走行するクレーン車に軌道上を走行できるよう軌道走行装置を備えたものである。
ひと言で軌陸クレーンとカテゴリ分けできるが大きくいくつかのグループに分類され、それぞれは他のグループとは大きく見た目が異なる。

軌陸クレーンとして挙げられるものには以下のものがある。
・軌陸クローラークレーン
・軌陸トラッククレーン
・軌陸ラフテレーンクレーン(軌陸ラフタークレーン)
・軌陸オールテレーンクレーン

以下、グループ毎に概要を説明していく。

 

■軌陸クローラークレーン
軌陸クローラークレーンは履帯を履いた自走式のクレーンに軌道走行装置を備えたものである。

△軌陸クローラークレーン

見かける頻度が一番高いのがこの種のクレーンで「鉄道用クレーン」というとこの種を指すこともあるくらいである。

 

■軌陸トラッククレーン
荷物運搬用のトラックの荷台を取り外してクレーン装置を装着したものである。
いわゆるユニック車と呼ばれる2.9tクレーンより一回り容量の大きい4.9t吊のクレーン装置を備えるものが多いようである。

△軌陸トラッククレーン。キャブより後方は全てクレーン装置で占められているのがわかる。

なお、荷台の荷物積み下ろし用に小型のクレーン装置を備えたトラックも多く存在するが主体が荷物運搬であるので当DBではこちらの車両は軌陸トラックとして取り扱う。

また、新幹線建設用に鉄道運輸機構が保有しているウニモグもこちらのカテゴリに該当する。

△トロに電化柱を積んでおり電化柱の建柱用途で使用されていると思われる。

 

■軌陸ラフテレーンクレーン(軌陸ラフタークレーン)
ラフテレーンクレーンは一つの運転席で走行とクレーン操作可能な自走式クレーンを指す。

△軌陸ラフテレーンクレーン。後輪が切れていて大型特殊自動車の要件である四輪操舵であることも見て取れる。

ラフテレーン(rough terrain)とは凸凹路のことで、比較的軟弱な地盤でも走行が可能なほか四輪操舵を備えるなど小回りが利くという特徴を持つ。

通常は大型特殊自動車扱いをされることが多い。

 

■軌陸オールテレーンクレーン
オールテレーンクレーンは自走可能な建設用クレーンの一種で不整地走行に対応した3軸以上の走行用台車にクレーン旋回体を架装したものである。
オールテレーン(All Terrain)という名は荒れた路面での走行、不整地での作業に加えて舗装路における走行にも対応するオールマイティであるということから付けられている。

ラフタークレーンと似通った構造を持つが最大の違いは走行用とクレーン操作用の運転席が独立していることである。

参考文献
1)コベルコ建機日本株式会社『建設機械とは』
https://www.kobelco-kenki.co.jp/company/recruit/2023/products/machine/crane.html(2022/09/24)

2)篠田重機重量部『オールテレーンクレーンとは』
https://www.shinoda-juryo.com/news/post-3/(2022/09/24)


軌陸クローラークレーン

軌陸トラッククレーン

軌陸ラフテレーンクレーン

軌陸オールテレーンクレーン