JR貨物の保守用車

写真:札幌貨物ターミナルのMCR-600A(機番0101

 

■概要

日本貨物鉄道(JR貨物)は、主に他のJRの路線網を利用して貨物輸送を行う事業者であり、自社で直接保有する線路は貨物駅や機関区、一部の貨物線などに限られている。このため営業規模に対して保守用車の保有数は少なく、その内訳は大半が除雪用機械である。

 


 

■機種

 

軌道モータカー

JR西日本から転属したTMC200Cが確認されている。


吹田貨物ターミナル

 

軌道モータカーロータリー

降雪地域の貨物駅にMCR-4が多数配置されている。これらの多くは、JR貨物の発足から数年が経った時期に製造された個体である。近年ではMCR-600Aへの置き換えが進んでいる。

・MCR-4


金沢貨物ターミナル

南長岡→酒田港 機番はMR-2の表記もあり

黒井 機番はMR-3の表記もあり

札幌貨物ターミナル

新潟貨物ターミナル

札幌貨物ターミナル

高岡貨物

 

・MCR-600A


札幌貨物ターミナル

南長岡

金沢貨物ターミナル

上記に加えて、北旭川にMCR-4およびMCR-600Aとは諸元の異なる個体が1両配置されている模様である。

 

貨車加減速装置積卸機

国鉄およびJR貨物のみに見られた保守用車。貨車加減速装置とは、操車場の軌間内に設置されたリニアモータカーで貨車を自動で動かすための設備である。このリニアモータカーを整備時に取り外し・運搬するための保守用車が、貨車加減速装置積卸機であった。
現在までに確認されている個体は新南陽駅の1台のみであり、他の自動化ヤードに存在したかは不明である。自走はできず、モータカーの代わりとして専用のF形10t貨車移動機が付属していた。


新南陽

 

除雪装置付貨車移動機

北陸地方の駅や機関区には、国鉄時代に製造されたロータリー式の除雪装置付貨車移動機が残存している。他社や個人へ譲渡された個体も存在する。なお、過去にはラッセル式の貨車移動機も在籍しており、東北地方の駅に配置されていた。


【移籍確認】
富山→富山操車場→青海→個人所有

糸魚川→新湊→高岡貨物

【廃車確認】
総合車両製作所新津→富山機関区→廃車
(JR貨物譲渡後は実用機扱いだったか不明)

【廃車確認】
燕→中条→酒田港→富山機関区→廃車

【廃車確認】
芦原温泉→南福井→富山機関区→廃車

富山機関区

敦賀港

富山→富山機関区→南福井

【移籍確認】
富山機関区→二塚→若桜鉄道

【移籍確認】
敦賀→敦賀港→ポッポの丘

敦賀港

 

トロ

少数が確認されている。中には貨車を保守用車化した個体も存在する。


札幌貨物ターミナル

 


 

■関連事項

JR貨物の機関車によって回送されるKRC810N
ジブと機関車が接触しないよう、中間にコキ107が連結されている

JR東日本が保有する操重車・KRC810Nは、長距離を移動する際にはJR貨物の機関車によって回送される。回送時は車外にジブが大きく突出するが、専用の控車を持たないため、JR貨物のコンテナ車が控車代用として連結される。

 

ジェイアール貨物・北関東ロジスティクスのTMC400A(製番58

JR貨物の子会社であるジェイアール貨物・北関東ロジスティクスは、宇都宮貨物ターミナルにある日本たばこ産業専用線の運行を担当している。ここでは元ユニオン建設のモータカー・TMC400Aが入換動車として使われている。以前はTMC500の入換動車仕様であるTMC500Lが使われていた。

 


 

■文献

1)湯浅 昭「モーターカーロータリーにおける保線機械の活用状況」『日本鉄道施設協会誌』52巻11号,2014年,pp.35-38.
2)沖田 祐作『機関車表』,2014年,ネコ・パブリッシング.