■概要
京急電鉄は東京の玄関口である品川と三浦半島を結ぶ京急本線と4つの支線の合計87.0kmを運行している。
これらの鉄道設備の保守作業は施設部の所掌であり、本社組織として保線課・電力課・通信課が、現業組織として保線区・電力区・通信区が存在する。
保線課は軌道モータカーやマルチプルタイタンパーを始めとする保守用車を、電力課は架線作業車等の軌陸車を、通信課が軌陸無線試験車を所有している。
各区はいずれも北側は川崎に、南側は金沢文庫に拠点を持ち、軌陸車は川崎・金沢文庫に配備されている。
軌陸車の配備区は車体に標記されていないものの、川崎ナンバーが川崎電力区、横浜ナンバーが金沢文庫電力区と判断することができる。
一方、保守用車は明確な所属は見受けられず全線で運用されており、敷地の都合から主に神奈川新町検車区・金沢文庫保線区・久里浜工場信号所に留置されている。
保守用車は基本的に直轄所有であるが、レール削正車については京急建設が所有し京急線の作業のほか、北総鉄道に貸し出し作業を行っていた時期もあったが現在は直轄所有に戻っている。
■保守用車の塗色
従来、京浜急行電鉄の保守用車はコーポレートカラーに準じた青系の塗装に赤帯・白帯であった。
しかし夜間の視認性が低いことを理由に順次塗り替えが行われ黄色塗装に赤帯・白帯に改められている。
現在旧塗装が残るのは多頭タンパ及び、他車と見分ける必要があるロングレール運搬トロの3両目(レール固定金具装備車)のみである。
■機械番号命名規則
京急電鉄の保守用車は百の位・十の位の数字により車種を、一の位の数字により号車を、無印・A・B・C…と進むアルファベットにより初代・2代目・3代目と号車ごとの代替わりを示す。
車種によっては数字の前に車種を表すアルファベットを付与するものも存在する。
■オンレール保守用車
低床トロリー
8㎥三転ダンプトロリー
砕石運搬車
8㎥二転ダンプトロリー
二転ダンプトロリー
送風車
軌道モータカー
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マルチプルタイタンパー
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引退済 |
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発電機トロ
レール削正車
レール洗浄車
機材運搬トロリー
レール(ロングレール)運搬車
500-E~517-Eまで存在。
編成3両目に配置するレール固定金具装備車である509-Eのみ見分ける必要があるため旧塗装である。
軌道検測車
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引退済 |
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レール探傷車
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遠隔制御車
バラストフィニッシャー
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引退済 |
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引退済 |
多頭タンパ
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引退済 |
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■軌陸車
川崎電力区
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架線作業車 引退済 |
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架線作業車 現行 |
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架線作業車 現行 |
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架線作業車 引退済 |
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架線作業車 現行 |
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クレーン付延線巻取車 現行 |
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架線検測車 引退済 |
金沢文庫電力区
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架線作業車 引退済 |
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デュアルモード架線作業車 現行 |
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架線作業車 引退済 |
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架線作業車 現行 |
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架線作業車 引退済 |
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架線作業車 現行 |
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クレーン付延線巻取車 引退済 |
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クレーン付延線巻取車 現行 |
レスキュー車
※本車両は営業車両の脱線復旧機材運搬を主目的としており、軌陸車ではあるものの保守用途の車両ではない。
道床交換作業車
軽便トロ
参考文献
1)『京浜急行電鉄総説』,鉄道ピクトリアル,243号, 電気車研究会,(1970.10)
2)城田九一『京浜急行電鉄の保線の保守体制』,鉄道線路,25巻,8号,日本鉄道施設協会,(1977.8)
3)吉津等『線路施設と保線』,鉄道ピクトリアル,656号, 電気車研究会,(1998.7)
4)石渡尚浩『線路と保線』,鉄道ピクトリアル,935号, 電気車研究会,(2017.8)