■概要
仙建工業は昭和17(1942)年に創業した宮城県仙台市に本社を置く建設会社である。創業以来東北地方を中心にJR東日本の新幹線・在来線の鉄道施設整備や線路の保守工事を事業の軸に据えつつ多様な土木・建設工事を手掛ける総合建設業を担っている。同社はJR東日本のパートナー会社としても知られている。JR東日本は同社株を17.6[%]保有(令和6(2024)年3月末現在)し議決権を持つ株主となっているなど、JR東日本との結びつきも強い1)。
国鉄時代は国鉄所有の保守用車を、JR化以後はJR東日本所有の保守用車を使用して作業を行っていたと考えられるが2)、平成6(1994)年度前後より保守用車の自社保有が始まったと推測される3)。
自社保有開始以後も基本的にはJR東日本や他の軌道五社(東鉄工業・第一建設工業・ユニオン建設・交通建設)と同様の車両ラインナップとなっている。
JR東日本及び他の軌道五社にはない車両としてはROBEL社製のミリング式レール削正車を2両保有していることが挙げられる。
■機械番号命名規約の変遷
JR化以後JRから転籍してきた車両が随時同社のラインナップに加わっていったと考えられるが基本的にはJR時代の機械番号をそのまま使用していったと思われる。
その後前述の通り平成6(1994)年頃から新しい命名規約にて附番された車両が登場してきた3)。その当時の機械番号の命名規約は当DBに投稿されているデータから〇〇(納入年度和暦2桁)+△△(一連番号2桁)であったと推測される。
このタイプの機械番号は平成11(1999)年まで確認されている4)。
その後過渡期を経て5)2003(平成15)年度頃から現在の形式の機械番号の命名規約が採用されている6)。資料として言及した資料はないが、実車を見る限り概ね以下の通りとなっている。

一連番号といいつつも初期の頃を中心に機械種別が異なる同一の一連番号が付与されているものがみられる。
但し、新幹線確認車GA-100については当初は他の保守用車と同じ命名規約で機械番号が附番されていたものの、2005年度に一連番号の代わりに製造番号が入るようになり(S0523)さらに機械番号末尾に「K(確認車のKか)」が付与され「S(仙健)+(西暦納入年度下2桁)+(製造番号下2桁)+K(確認車)」という命名規約にて附番されている(S0528K以降)。なお、GA-100後継のR600に関しては末尾の「K」は踏襲されたものの製造番号に関係なく他の保守用車と同じ形式の命名規約にて附番が為されている。
2016年度のみ機械種別が付与されていない機械番号で附番されている。
現行の機械番号で附番された個体についてまとめると以下の通りとなる。
年度/一連番号 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 |
03 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
04 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
05 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
06 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
07 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
08 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
09 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
10 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
11 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
12 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
13 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
14 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
15 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
16 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
17 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
18 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
19 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
20 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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22 |
なお、トンネル作業車やJR東日本から転籍してきた軌道モータカーなどには上記命名規約とは異なる機械番号が付与されているものがある。
車種別一覧
軌道モータカー
2010年頃まではNICHIJOや堀川工機製のモータカーが多く入っていたが近年は新潟トランシス製のTMC400Bが納入されている。
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※阿武隈急行へ移籍 |
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軌道モータカーロータリー
在来線向けはNICHIJO製、新幹線向けは新潟トランシス製が多い。一通り更新が為されたためかここ10年近くは新しい個体が確認されていない。
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確認車
近年では三菱重工業製のGA-100に代わり新潟トランシス製のR600が入ってきている。
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マルチプルタイタンパー
Plasser&Theurer製で統一されている。
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※阿武隈急行へ移籍 |
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※阿武隈急行へ移籍 |
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バラストレギュレータ
マルタイ同様Plasser&Theurer製で統一されている。
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レール削正車
かつては6頭式のレール削正車を保有していた7)。近年ROBEL社製のミリング式が納入されている。
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トロ
近年はトキオ製が多く納入されているが、一部新潟トランシス製のものも入っている。2022年にトキオ製によく似た株式会社コーシン製の砕石運搬散布車が納入されている。
【鉄製トロ15t ボギー式(高萩製作所)】
【鉄製トロ(ホッパ形)(高萩製作所)】
【バラスト運搬散布車 STB17-A(三東)】
【バラスト運搬散布車 NTB-17(新潟トランシス)】
【砕石運搬車(ミニホッパー) BCS-T09A-NT1(トキオ)】
【砕石運搬車(ミニホッパー) BCS-T09A-NV1(トキオ)】
【砕石運搬車(ミニホッパー) BCS-T09B-NV1(トキオ)】
【砕石運搬車(ミニホッパー) BCS-T09B-SN0(トキオ)】
【砕石運搬車(ミニホッパー) BCS-T09B-SW1(トキオ)】
【砕石運搬散布車 NVB-K09-SH(コーシン)】
【砕石運搬散布車 NVB-K09-SHF(コーシン)】
【二転式超低床バラスト運搬積卸車 STD-20TR-S(三東)】
【鉄製トロ(トキオ)】
【鉄製トロ 10T-N(三東)】
【機材運搬用台車(三東)】
【レール運搬台車(ワンフレ) MK016A(トキオ)】
【レール運搬台車(ワンフレ) MK016-4N(トキオ)】
【工事用運搬台車 新幹線用レール運搬車 MK004A-3S(トキオ)】
【工事用運搬台車 レール運搬車用キャビン GK009(トキオ)】
【工事用運搬台車 電源付確認台車 GK017(トキオ)】
【工事用運搬台車 電源付確認台車 GK018(トキオ)】
【工事用運搬台車 確認台車 型式不明(トキオ)】
【監視用キャビン台車 JIP-15(三東)】
【工事用運搬台車 DD034(トキオ)】
【トンネル作業車 9A(水谷組)】
【トンネル作業車 9B(水谷組)】
注釈
1)文献3)。保線関係では他にもユニオン建設(90.0[%])、東鉄工業(20.0[%])、第一建設工業(19.0[%])、鉄建建設(18.8[%])、交通建設(18.3[%])といった企業の株を有している。
2)文献4)。写真のようにJRのロゴを覆うようにして自社ロゴを貼り付けている。元々使用していた機材が途中から転籍した例と見做すのは妥当と思われる。
3)文献4)、文献5)、文献6)、文献8)および文献11)。昭和59年製のTMC300(機械番号220)、平成元年製のSTB17-A(機械番号020)といった国鉄・JR時代からの個体の機械番号とは異なる4桁の機械番号0602を持つN-MCR-600が平成6年に登場している。その後も当DB登録データだけでも平成11年頃までは『和暦2桁+一連番号2桁』の個体が多数確認できる。但し、同様の命名規約に思えるMCS-1(機械番号0527)に関しては銘板情報は回収できていないものの製造時期から平成5年製とは考えづらいのでこの個体は関係ないものと思われる。
4)文献7)など。
5)文献6)、文献8)および文献9)。 平成12年(2000)年度から平成14(2002)年度までは軌道モータカー以外の個体の存在は確認できていないのでこの時期の機械番号の命名規約がどうであったかの判断ができない。ただ、平成10年製のTMC400AS(機械番号228)や平成14年度製HTM250(機械番号213)が昭和59年製のTMC300(機械番号220)と同様の200番台の機械番号を付与されていることから除雪用軌道モータカーについては平成15年度以前は別の命名規約で附番されている可能性も考えられる(但し大半の軌道モータカーは和暦2桁+一連番号2桁の機械番号である)。
6)現行の機械番号の附番ルールは平成15年度頃から見られるが一斉に切り替わったわけではない。たとえば文献10)のように平成17年度製造のもので附番が為されていないものも確認できる。
7)文献12)及び文献13)。 文献12)中に6頭式一台について言及がある。「保有」と明言されているわけではないが「設備投資」についての言及が為されている箇所での記述であり仙建工業が保有していると見做すのは妥当に思われる。なお、文献13)中に日本機械保線仙台営業所で6頭式を自社保有している旨の記述があり、同じ仙台地区ということで日本機械保線から仙建工業へと6頭式が移籍した可能性も考えられる。
参考文献
1)仙建工業株式会社『会社概要』
https://www.senkenkogyo.com/company/#company01
(2025.03.13閲覧)
2)宮城の建設業界で働こう!!『仙建工業株式会社』
https://recruit.miyakenkyo.or.jp/company/senken-kougyou/
(2025.03.08閲覧)
3)IR BANK『9020 東日本旅客鉄道』
https://irbank.net/E04147/ac?y=2024
(2025.03.08閲覧)
4)MCDB『三東_STB17-A_SS-28_仙建_020』
https://mcdb.sub.jp/forums/topic/%e4%b8%89%e6%9d%b1stb17-a_ss-28_%e4%bb%99%e5%bb%ba_020/
(2025.03.08閲覧)
5)MCDB『新潟_N-MCR-600_6014_仙建_0602』
https://mcdb.sub.jp/forums/topic/%e6%96%b0%e6%bd%9f_n-mcr-600_unknown_%e4%bb%99%e5%bb%ba_0602/
(2025.03.11閲覧)
6)MCDB『FHI_TMC300_31_仙建_220』
https://mcdb.sub.jp/forums/topic/fhi_tmc300_unknown_%e4%bb%99%e5%bb%ba_unknown/
(2025.03.11閲覧)
7)MCDB『三東_機材運搬用台車_99017_仙建_1116』
https://mcdb.sub.jp/forums/topic/%e4%b8%89%e6%9d%b1_material_99017_%e4%bb%99%e5%bb%ba_1116/
(2025.03.11閲覧)
8)MCDB『日除_HTM250_unknown_仙建_0213』
https://mcdb.sub.jp/forums/topic/%E6%97%A5%E9%99%A4_HTM250_unknown_%E4%BB%99%E5%BB%BA_0213/
(2025.03.11閲覧)
9)MCDB『FHI_TMC400AS_77_仙建_0228』
https://mcdb.sub.jp/forums/topic/FHI_TMC400AS_77_%E4%BB%99%E5%BB%BA_0228/
(2025.03.11閲覧)
10)MCDB『PT_08-2X_3176_仙建_unknown』
https://mcdb.sub.jp/forums/topic/pt_08-2x_3176_%e4%bb%99%e5%bb%ba_unknown/
(2025.02.18閲覧)
11)MCDB『新潟_MCS-1_unknown_仙建_0527』
https://mcdb.sub.jp/forums/topic/%e6%96%b0%e6%bd%9f_mcs-1_unknown_%e4%bb%99%e5%bb%ba_0527/
(2025.03.11閲覧)
12)服部正己『仙建ギャラリー ―仙建工業㈱―』,新線路,第52巻2号,鉄道現業社,(1998.02)
13)鈴木博人『MTT・スペノ・6頭-仙台営業所-』,新線路,第43巻10号,鉄道現業社,(1989.10)