(写真:日本機械保線『日本機械保線株式会社20年のあゆみ』日本機械保線,1987年,p.33より)
芝浦製作所は国鉄と共同でマルチプルタイタンパーの開発・製造を手掛けていたが、レール削正車も開発したことがあった。
それが8頭式レール削正車RS-101Aである。
■概要
芝浦製8頭式レール削正車側面図
小倉(1987)p.7より
本機種は1984(昭和59)年度に開発され、東海道新幹線用として浜松レールセンターに1両が配置された。
それまで、東海道新幹線ではスペノ製レール削正車RR675が使用されていたが、削正業務の需要増大に伴って全線を1台でカバーしきれなくなっていた。このため不足する削正能力を補うために、1983(昭和58)年開発の吉池製作所製6頭式削正車と合わせて、この芝浦製の8頭式削正車が導入された。
■諸元・性能
8頭式レール削正車の諸元と性能は以下の通りで、削正作業は約750mの区間を3回通過して行う方式であった。
全長 | 9,370[mm] |
全幅 | 2,810[mm] |
全高 | 3,300[mm] |
重量 | 19,000[kgf] |
車輪直径 | 762[mm] |
最高速度 | 60[km/h] |
標準削正速度 | 1[km/h] |
標準1回削正量 | 0.1[mm]程度 |
検測波長 | 30~2000[mm] |
検測深さ | 最大2[mm] |
検測速度 | 4[km/h] |
制動距離 | 75[m]以下(初速45[km/h]) |
装備 | グラインダー(8頭) 波状摩耗検測装置、集塵装置 |
小倉(1987)p.7,田中・磯浦編(1998)p.261より
■運用
集塵装置を取り付けJR東海カラーとなった後のRS-101A
松田(2000)p.143より
本機種は主に浜松以西の区間にて、レール溶接部および駅構内の削正業務を担当していた。国鉄民営化後はJR東海に引き継がれ、機番RG-1102として名古屋保線所に配置されていた。またその頃には、JR東海の保守用車標準塗装に変更され、車体前後に集塵装置を取り付けた姿が確認されている。
残念ながら芝浦製のレール削正車は、これ以上発展せず途絶えてしまった模様である。
■文献
大高 康裕「スペノ車によるレール削正効果」『日本鉄道施設協会誌』33巻3号,1995年,pp.24-27.
片平 雅之「レール削正車」『新線路』41巻11号,1987年,pp.14-17.
小倉 賢治「レール削正の概況」『新線路』41巻7号,1987年,pp.4-8.
田中 宏昌・磯浦 克敏編『東海道新幹線の保線』,1998年,日本鉄道施設協会.
松田 務「レールを削る!:鉄道界のグラインダーマン~レール削正車」『トワイライトゾ~ンMANUAL』9号,2000年,pp.138-145.