■概要
保線作業の効率化や作業環境の改善を目的として2020年7月にJR東日本が導入した移動作業車で、Mobile Maintenance Unit (MMU)と称される。
2020年下期以降、常磐線 富岡~原ノ町駅間で試験が行われる予定である。
移動作業車であるMMUは同じくROBEL製の材料運搬車(Store)と2両1編成で組成される。
△移動作業車(MMU)
△材料運搬車(Store)
また、この編成には回送走行能力が無いため、各種測定機器を搭載した検査保守用車にて牽引されて運用される。
検査駆動車を含めた編成はJR東日本においてはGMAC「ジーマック」(Next Generation Maintenance Machine)と呼称される。
作業時は5[km/h]での自走が可能である。
△GMAC編成 先頭が検査保守用車
■MMU
MMUは床面の開口部で軌道作業が行えることが特徴である。
この空間は屋根と壁に囲まれて隣接線から防護されているだけでなく、屋外が悪天候でも濡れることなく明るい作業環境を確保することが可能である。
また、騒音や照明による光害が沿線に与える影響を低減することもできる。
作業空間の側壁は拡幅式となっており、両側の側壁を2430[mm]から4430[mm]まで拡幅することが可能である。
△MMUの作業空間 JR東日本 水戸支社『新型保守用車「MMU」試験導入について』,(2020.6.19)より
また、作業用の主な装備は下記の通りである。
・エアー及び電源取出口(側壁両側)
・ホイストクレーン
・着脱式巡視用座席
・一人検測可能な10m弦の糸張り検測装置
△ホイストクレーン JR東日本 水戸支社『新型保守用車「MMU」試験導入について』,(2020.6.19)より
△着脱式巡視用座席 JR東日本 水戸支社『新型保守用車「MMU」試験導入について』,(2020.6.19)より
■ 諸元
長さ | 22,075[mm] |
幅 | 2,946[mm] |
高さ | 3,978[mm] |
軌間 | 1,067[mm] |
自重 | 56.9[t] |
■Store
Storeは箱型車体を有した材料運搬車で、MMUと連携した作業が可能である。
主な装備は下記の通りである。
・パワーリフター
1.5[t]まで積載可能
・ホイストクレーン(MMUとの間で運搬可能)
・架線設備点検台
・床下レール収納スペース
10[m]レールが3[本]収納可能。
・散水用および除草用の散布装置
△パワーリフター JR東日本 水戸支社『新型保守用車「MMU」試験導入について』,(2020.6.19)より
△床下レール収納スペース JR東日本 水戸支社『新型保守用車「MMU」試験導入について』,(2020.6.19)より
△架線設備点検台 JR東日本 水戸支社『新型保守用車「MMU」試験導入について』,(2020.6.19)より
■ 諸元
長さ | 22,075[mm] |
幅 | 2,854[mm] |
高さ | 4,025[mm] |
軌間 | 1,067[mm] |
自重 | 56.7[t] |
参考文献
1) 神谷俊晴・赤松秀彦・萩尾泰弘『新型保守用車「MOBILE MAINTENANCE UNIT」の導入』,新線路,74巻,6号,鉄道現業社,(2020.6)
2) JR東日本 水戸支社『新型保守用車「MMU」試験導入について』,(2020.6.19)
http://www.jrmito.com/press/200619/press_02.pdf
3)ROBEL『New era in Japanese rail maintenance』,(2020.6.19)
https://www.robel.com/en/newsroom/news/generationswechsel-in-der-japanischen-schienen-instandhaltung-1/
4)『新型保守用車「MMU」試験導入』,交通新聞,(2020.6.30),1面
5)『ドイツから新型保守用車MMU JR東、車両内で点検作業』,朝日新聞社,(2020.08.16)
https://www.youtube.com/watch?v=t_-oUMJwVQE