■概要
1990年代初頭に4トン機のPC40ベースの軌陸バックホウが使用されたのを皮切りに現在は5トン機(PC50⇒PC58)及び7トン機(PC75⇒PC78)のモデルが主に使用されている。
小松製作所製のバックホウの型式の読み方については概ね以下の通りとなっている。
上図の中で、後方小旋回型、超小旋回型、標準型とあるのは以下のような違いがある。
△参考文献6)より
違いは旋回したときに車体の前方及び後方がクローラーの幅より出るかどうかで、標準型は車体前方のアーム部及び運転席後方の車体がクローラー幅より出る。
後方小旋回型は後方はクローラー幅からはみ出さずに旋回できる。超小旋回は前後ともクローラー幅内で旋回が可能になっている。
軌陸バックホウは限られたスペース内で作業をするため大多数が超小旋回型のバックホウをベースに製作されている。
以下、よく目にするモデルについて解説する。
■PC58UUT-5/PC58UUT-5W
PC58UUT-5 / PC58UUT-5Wは2009年9月に発売となったモデル。
鉄道保線作業などに使用される軌道走行が可能な作業車で,環境対応性,操作性,安全性,信頼性などの向上を図ったもの。オフセットブーム機構をもった油圧掘削機で,狭軌専用仕様のPC58UUT-5と標準・狭軌両用仕様(ゲージ変更スライド機構付)のPC58UUT-5Wにわかれる。
作業,走行ともに油圧駆動方式で,主エンジンに故障が生じた場合に備えて緊急用補助エンジンを搭載しており,万一の場合は,補助エンジンで全ての操作が可能となっている。
■PC58UUT-6
PC58UUT-6は上部旋回体に超小型旋回油圧ショベルPC58UU-6をベースに下部走行体に従来機のPC58UUT-5を組み合わせたもので2019年1月より発売となったモデル。特定特殊自動車排出ガス2014年基準の排出ガス規制をクリアしたエンジンを搭載しているほか駐車ブレーキかけ忘れによる逸走を防ぐ車輪自動駐車ブレーキなどを備えている。
■PC78UUT-10
PC78UUT-10は上部旋回体に超小型旋回油圧ショベルPC78UU-10をベースに軌陸兼用ショベルとしたもので2018年1月より発売となったモデル。特定特殊自動車排出ガス2014年基準の排出ガス規制をクリアしたエンジンを搭載しているほか駐車ブレーキかけ忘れによる逸走を防ぐ車輪自動駐車ブレーキなどを備えている。
■ 主要諸元
軌陸バックホウ 5トン機
型式 | PC58UUT-5 | PC58UUT-6 |
走行速度(オンレール) | 30[km/h] | 30[km/h] |
最大掘削力 | 39.2[kN] | 39.2[kN] |
バケット幅 | 608[㎜] | 680[㎜] |
最大掘削高 | 2,945[㎜] | 2,945[㎜] |
最大ダンプ高 | 1,630[㎜] | 1,630[㎜] |
最大掘削深さ | 4,000[㎜] | 3,980[㎜] |
最大掘削半径 | 5,660[㎜] | 5,675[㎜] |
定格出力 | 28.0[kW] / 2,400[min-1] | 27.7[kW] |
燃料タンク | 80[L] | 63[L] |
全長 | 5,680[㎜] | 5,755[㎜] |
全幅 | 2,380[㎜](狭軌) | 2,355[㎜] |
全高 | 2,750[㎜] | 2,635[㎜] |
対応軌道幅 | 1,067/1,372/1,435[㎜] | 1,067/1,372/1,435[㎜] |
軌道絶縁 | 四輪絶縁 | 四輪絶縁 |
後方旋回半径 | 1,035[㎜] | 1,070[㎜] |
機械質量 | 6,960[kg] | 7,350[kg] |
JR東日本型式認定番号 | KO-01-017改 | KO-01-021改 |
軌陸バックホウ 7トン機
型式 | PC78UUT-10 | PC78UUT-6 |
走行速度(オンレール) | 30[km/h] | 30[km/h] |
最大掘削力 | 61.3[kN] | 61.3[kN] |
バケット幅 | 750[㎜] | 650[㎜] |
最大掘削高 | 2,820[㎜] | 2,820[㎜] |
最大ダンプ高 | 1,345[㎜] | 1,345[㎜] |
最大掘削深さ | 3,980[㎜] | 3,980[㎜] |
最大掘削半径 | 6,255[㎜] | 6,255[㎜] |
定格出力 | 48.8[kW] / 1,950[min-1] | 40.5[kW] / 1,850[min-1] |
燃料タンク | 86[L] | 125[L] |
全長 | 6,375[㎜] | 6,470[㎜] |
全幅 | 2,475[㎜] | 2,330[㎜] |
全高 | 2,745[㎜] | 4,000[㎜] |
対応軌道幅 | 1,067/1,372/1,435[㎜] | 1,067/1,372/1,435[㎜] |
軌道絶縁 | 四輪絶縁 | 四輪絶縁 |
後方旋回半径 | 1,345[㎜] | 1,345[㎜] |
機械質量 | 10,900[kg] | 10,635[kg] |
JR東日本型式認定番号 | KO-01-020改 | KO-01-016改 |
参考文献
1)AKTIO『鉄道機械レンタルカタログ』
https://www.aktio.co.jp/products/cms/booklet/12_railway.pdf
(2022/07/09)
2)日本建設機械施工協会『機関誌2009年11月号』
https://jcmanet.or.jp/bunken/kikanshi/2009/11/075.pdf
(2022/07/23)
3)小松製作所『<オフロード法2014年基準適合> 軌道陸上兼用油圧ショベル「PC58UUT-6」を新発売』
https://www.komatsu.jp/ja/newsroom/2019/20190124
(2022/07/23)
4)小松製作所『<オフロード法2014年基準適合> 軌道陸上兼用油圧ショベル「PC78UUT-10」を新発売』
https://www.komatsu.jp/ja/newsroom/2018/20180119_2
(2022/07/23)
5)ケンケンキッキ『パワーショベルの型番の「PC」とはどういう意味ですか?また01番から何番まであるんですか?』
https://www.kenkenkikki.jp/qa/answer/j_a06-012.html
(2022/10/09)
6)トクワールド『油圧ショベルの使用や呼び名・名称について|トクワールドブログ|トクワールド』
https://tokuworld.co.jp/wp/?blog_ja=b20200222
(2022/10/09)
PC30MR
PC50
PC58
PC78