写真:東海道新幹線のBL 09 M
湯本(1980),p.15より
BL 09は、MATISAの小型マルタイ(ライトタンパー)である。
■概要
BL 07の改良型に当たる。最大の特徴は2台のタイタンパーを1人で操作できるようになった点と、自走が可能になった点である。
BL 09の構造図
日本鉄道施設協会(1966),p.196より
基本的な構造はBL 07のものを引き継いでおり、振動フレーム/中間フレーム/固定フレームで構成されるタイタンパー本体2台と支持台車(自走用トロリー)で構成される。タンピングツールの開閉・上下は油圧式、振動は機械式である。BL 07と同様に、タイタンパー本体は横移動して線路外の退避装置に載せることができる1)。
支持台車は中央後部に運転席を備えており、両側のタイタンパーから伸びたレバーを使い1人で操作が可能である2)。またオイルモーターを装備しており、右側のタイタンパーから供給される油圧で自走できる3)。
屋根が取り付けられたBL 09 M
東海道新幹線支社『新幹線事典』,1966年,東海道新幹線支社,p.250より
本機種のうちBL 09 Mが、東海道新幹線向けとして1964年度および1965年度に計24台導入された4)。導入年度によって走行性能に差があるほか、屋根を取り付けた姿も記録されている。また阪急にも本機種と思われるライトタンパーが1台導入されていた記録がある5)。
■諸元
標準的な諸元は以下の通り6)。
全長 | 2710[mm] |
全幅 | 2430[mm] |
全高 | 2100[mm] |
軸間距離 | 2000[mm] |
重量(本体1台) | 約500[kg] |
重量(支持台車) | 約200[kg] |
重量(照明装置) | 約100[kg] |
重量(退避装置) | 約40[kg] |
作業能力 | 約50~70[m/h](こう上12mm) |
タンピングツール | 本体1台につき1丁づき4頭 |
ツール振動数 | 3000[rpm] |
エンジン | Deutz FIL310 10.5[PS] 3000[rpm](本体1台につき1機) |
自走速度(回送時) | 1964年製…10[km/h](6%勾配) 1965年製…25[km/h](3%勾配) |
運転操作人員 | 1名 |
退避所要時間 | 1分(所要2名) |
■脚注・文献
1)日本鉄道施設協会「保線データ・シートNo.11:保線機械その4」『鉄道線路』14巻4号,1966年,pp.付録193-206.
2)湯本 幸丸『写真解説保線用機械(改訂増補5版)』1980年,交友社.
3)日本鉄道施設協会,前掲1,p.200掲載図より.
4)鉄道通信協会 「新幹線の現況」『鉄道通信』17巻10号,1966年,pp.35-36.日本鉄道施設協会,前掲1,p.194表より.
5)京阪神急行電鉄総務部「京阪神急行電鉄株式会社」『鉄道ピクトリアル』20巻3号,1970年,pp.4-10,の表5に本機種と同性能のライトタンパーが存在したと記されている.
6)日本鉄道施設協会,前掲1.湯本,前掲2.