TMC100

概要


大型軌道モータカーの先駆け。

軌道モータカーは戦前から単独で人員または資材を輸送するための運搬機械として活用されてきたが、軌道材料の大型、重量化が進行し、従来の軌道モータカーなどの能力に限界が見えていた。
そこで、単純な人員輸送用ではなく、貨車や各種機械を牽引することを主目的とした大型軌道モータカーとして開発されたのがTMC100である。

国鉄時代に大量に生産され、派生型として多くの型番が存在する。
全形式がいすゞ DA120Pエンジンを搭載し、出力は89[PS]※である。

※JIS規格の呼称変更により新表示では102[PS]


1950年代に入り、幹線の輸送力増強の要請に伴い、単独運搬ではなく牽引を目的とした大型軌道モータカーとして開発された大型軌道モータカー。
89[PS]ディーゼルエンジンを搭載、重量およそ6.5[t]、最高速度[56km/h]、平坦線での牽引重量は100[t]である。
1956年に2両が製作され試用された。

製造番号101および102。


TMC100の試用実績を受けて、はじめて量産化された大型軌道モータカー。
TMC100との大きな違いはない。主制動装置として空気ブレーキを常用し、直通ブレーキ(自車)と自動空気ブレーキ(貫通)を備え、貨車牽引に対応している。副変速機により前後2軸駆動を行い、前後進運転も可能である。また、床下に油圧式転車装置と手押式離線装置を装備しており、軌道上での転回、線路外への取り下ろしが可能である。

製造番号103~145(全43両)。



TMC100Aの使用実績を元に改良された機種。
キャブ前後の窓が若干横長に変更され、手動式サイレンが前面左下から左上へ移設されるなど外見上の差異がある。副変速機内のデファレンシャル機構を8[t]自動車用のものに変更し、元空気ダメの容量が70[L]から140[L]に変更するなど動力・制動機構が強化された。また、増備中に種々の改良が加えられており、バリエーションが非常に多い。
クレーン付きタイプの個体も存在した。

製造番号146~。


1961年から製造されたTMC100Bのラッセル装置付きタイプ。
運転室から空気圧にて操作が可能なラッセル装置を装着する。キャブが延長され、運転室に座席2列を置くことが可能となった。後部荷台にも屋根を架けられるようになり、前期型ではテント張り、後期型ではキャブが後部まで延長されている。キャブ内には油燃焼式の暖房装置を備え、デフロック機構を装備するなど冬季の除雪作業に適した装備が加えられている。
なお、前期型と後期型でキャブの外観が異なる。

製造番号136~。


東海道新幹線建設工事用に製作された機種。
同時期に製造されていたTMC100Bをベースとしたもので、主要諸元はほぼ同一である。連結装置として前位側に簡易連結器、後位側に自動連結器を装備する。転車装置と離線装置を持たないことが大きな特徴。

製造番号298~。


TMC100Bをベースとしてキャブを拡幅した機種。
従来のTMC100シリーズは車幅が狭いため貨車牽引時の後方視界に問題があったため、車体幅を広げて運転台からの視界を広げたもの。キャブが拡幅されたことによりスタイルが大きく変わり、定員が増した。量産過程でさまざまな改良が加えられ、高機能化と安全性の充実が図られている。1967年から製造が開始され、その後はTMC100シリーズの最終型として長らく生産がつづけられた。

製造番号514~。


TMC100Fベースのラッセル装置付きタイプ。
TMC100BS同様に空気圧操作式のラッセル装置を装着する。キャブに関してもTMC100BS同様に大型化されており、室内には油燃焼式の暖房装置を備える。

製造番号542~。