東北・上越新幹線の探傷車

■概要
東北・上越新幹線の開業にあわせて開発された探傷車で1982年に製造された。
型式は不明であるが、東北地域本社所属の1両が存在した。牽引用の軌道モータカー、探傷車、付随車で編成を組成して使用する。
東海道新幹線に導入された923形をベースとしているが、本車は保守用車としている。
外観上の923形との差異として、地点検知が自動化されたことでキロポスト目視確認用の出窓が無くなり車体幅が拡幅されている。
探触子は摺動式を採用しており、探傷速度が向上している。

 

■探傷装置

探傷方式 超音波パルス反射法および透過法
探触子方式 水ギャップ法による摺動型探触子方式
摺動探触子ブロック 複合探触子
探傷速度 45[km/h]
水タンク容量 4000[L]

 

■付随車
測定機器に用いる電力を生み出す発電機の振動などが測定機器に悪影響を与えぬように発電機搭載用の付随車を備えている。
構造は923形の付随車として製造された堀川工機製と推定されるものとほぼ共通である。
発電機は100[V]、12.5[kVA]のものを2つ搭載しており、1つを測定機器専用、もう1つをその他の機器用とすることで負荷による電源電圧/周波数の変動を抑えている。
また、床下のレール清掃子により摺動式探触子が通過する前にレール表面の異物を取り除いている。
なお、探傷車の探傷装置がタイヤ式から摺動式に変更され水の使用量が増えたため、水タンク容量が2000Lから4000Lへ変更されたのに伴い、従来付随車に搭載されていた水タンクは探傷車へ移設されている。

 

参考文献

1)『東北・上越新幹線の超音波探傷車』,新線路,36巻,6号,鉄道現業社,(1982.6)
2)小川茂俊・土棚敏夫『新しい超音波探傷車について』,鉄道線路,30巻,6号,(1982.6)
3)宮本英雄・三井寛人『東海道新幹線の新型「超音波探傷車」の構造と取扱い』,新線路,42巻,8号,(1988.8)


 

 探傷車

 付随車