U652


■概要
電柱など長尺で重量のあるものを運搬するためのトロで軌陸車とセットで使用する。1号車は2012(平成24)年3月にNDK東北支店秋田支社に納入された。

従来、同様の作業時に使用していたトロにはなかったブレーキ連動機能やトロの車端ではなく中心に連結ポイントを持つ構造など、従来のトロとは大きく異なる機能・構造を持つ。

なお、当形式は2023(令和5)年末で10年の部品供給年限を経過しているため2013(平成25)年まで製造が為されていたものと推測される1)

 

■開発の狙い
従来、長尺で重量があるものを運搬する際には軌陸車と2台のブレーキがないトロを連結して運搬を行っていた。トロ部分には約6[t]まで積めたが軌陸車が約8[t]で、制動をかけた際に積載物の慣性により軌陸車が押され停止位置をオーバーランすることが多く、また連結部に大きな負荷がかかることで連結部の損傷や脱線の危険性があった。これらの問題点を解消すべく開発されたのが当形式である。

 

■主な特長
保守的なものが多いトロという保守用車でありながら多くの特長を持つ。そのうちのいくつかを紹介する。

・ブレーキ連動機能
軌陸車と連動してトロにブレーキをかけるものである。モータカーから圧縮空気の供給を受け制動を行うトロは珍しくないが、当形式では軌陸車側につけられた連動ブレーキ制御ボックスから電気信号を受け軌陸車と制動を連動させている。
万一トロが外れた場合でも警報が鳴り軌陸車が自動停止するとともにトロには自動的にメカニカルブレーキが働くようになっている。

・トロ中心に位置する連結部
長尺物を固定した状態で曲線をスムースに走行できるようにしたものである。曲線部も車輪のきしみ音なく静かに走行することができる。

・大径の鉄輪
軌陸車と同じサイズもので重量があり径も大きいので脱線のリスクが少なくなっている。

・アタッチメント
積載物に応じてトロ上部のアタッチメントを交換することができ、長尺物から小物まで幅広い積荷に対応可能となっている。
2両を組み合わせて使用することも可能で例えば低床軌道運搬車として使用することもできる。

△低床軌道運搬車としての使用例。文献2)より

脚注
1)文献3)

参考文献
1)アイチコーポレーション『軌陸車に連動するブレーキを付けた資材運搬用トロッコ』,CABIN No.82,アイチコーポレーション,(2012.12)
https://www.aichi-corp.co.jp/application/files/6814/9612/6588/CABIN82_full.pdf(2024.01.11取得)
2)日本電設工業株式会社『技術開発』
https://www.densetsuko.co.jp/01service_tech/technology/(2024.01.13取得)
3)アイチコーポレーション『2022年にて修理部品の供給を終了した機種のお知らせ』
https://www.aichi-corp.co.jp/application/files/6517/0374/6791/20231227_replacement_parts2.pdf(2024.01.13取得)