R300

概要


R300は、1972年3月から使用が開始された山陽新幹線向け確認車である。

当時、新幹線における確認車としては1964年12月に登場した東海道新幹線用R200が存在したが、山陽新幹線新大阪-岡山間開業時にこの使用経験を踏まえて新たな確認車を製作することになり誕生した。

R200より改善された点は以下のとおりである。
(1) 最高速度はR200と同じ70 km/hであるが、走り装置に改良が加えられ、蛇行動の発生を防ぎ、乗り心地の向上が図られた
(2) 視野を広くするため旋回窓をやめ、通常のワイパー式とした。また、照明をより強力にし、ブレーキ性能も向上された
(3) 当時使用されていた保守用車のうち最大重量の車両が故障した際にでも連結・牽引して収容できる性能を持たせ、事故復旧機材を搭載した
(4) 指揮者・運転者間の指示/連絡に支障がないよう騒音軽減がはかられた
(5) 点検容易かつ故障しにくい構造とした
(6) 横取り作業を従来3名で行っていたものを2名で行えるようにした

R300の車体は、前から運転室、機関室、荷物室の構成になっている。後退運転時は指揮者が荷物室に乗って監視を行うため、荷物室には連絡用信号スイッチ、放送連絡装置、非常弁が装備されている。
ブレーキ装置は、入換弁による車輪踏面空気ブレーキのほかに油圧によるドラムブレーキを装備している。
限界測定装置は台枠前端に装備され、レール面より700 mmまでの高さの範囲で建築限界より10 mm内側の線を支障するものを検知する。支障物が検知棒に触れると、指揮者席の前に取り付けられたブザーが鳴動し、支障物が接触した箇所の表示灯が点灯、同時に空気ブレーキが作用する。

R300は6両存在したが、のちにR300Aが登場してからは次第に置き換えられていったとみられる。

 
諸元


■ 寸法・重量

長さ 7,300 mm
3,6300 mm(限界測定時)
高さ 3,300 mm
軌間 1,435 mm
自重 15 t(積載荷重1 tを含む)

■ エンジン

エンジン名称 いすゞ DH100TPB
エンジン出力 185 PS/ 1,800 rpm

■ 牽引性能

勾配 積載重量 牽引重量 単車積載時 重量牽引時
水平線 1 t 30 t 75 km/h以上 70 km/h以上
15 ‰ 1 t 30 t 70 km/h以上 30 km/h以上

 
参考文献


1) 黒正純 『新しい確認車 -R三〇〇形-』新線路, 26巻6号, 鉄道現業社, 1972年6月
2) 湯本幸丸『写真解説 保線用機械』交友社, 1967年初版・1980年改訂5版
3)藤川央玖人『新幹線保守用車の紹介 新幹線用確認車R600 新幹線用電気作業車MKW』建設機械施工, 75巻3号, 日本建設機械施工協会, 2023年3月