GR255-1


東海道本線丹那トンネル内の道床更換を推進すべく導入された専用機械群内の道床掘削機である。

丹那トンネルは来宮-函南間に位置する全長7,841[m]の長大トンネルであるが
・狭隘箇所でかつ間合いが短い
・湿潤環境でレールの電食が甚だしい
・道床バラストの泥化・砕粒化が進みマルタイ投入の効果が長続きしない
といった問題点が多くあったためトンネル内のバラストを更新することとなった。

専用機械群は1994(平成6)年に導入されたもので反対線側の列車を通しながら作業をするため道床の掘削から発生バラストの回収及び最終軌道整備までを一環作業として当該線のみを使用して実施している。

△丹那トンネル機械編成群。文献2)より

トンネル内は道床肩がないため道床更換機のカッターバーが切り込めない。そのため連続掘削に先立ち軌道脇に水車のような掘削ユニットでカッターバーを入れる溝を掘る役割を担っている。

当型式は松山重車輌工業との合作で、1994(平成6)年に製造され富士保線区に配属された機械番号8003の車両が1両確認されている。掘削ユニットは車体の片側にのみ装備されているが、車体に備わった転車装置により軌道両側での作業が可能となっている。
掘削時の粉塵が酷かったため散水装置装着という改良が為された。

2006(平成18)年5月に2代目のHTM600Eに更新されて引退した。

 

参考文献
1)『線路の保守作業・検査用機械』,新線路,第61巻4号,鉄道現業社,(2007.04)
2)阿部謹一『丹那トンネルの機械編成群による道床更換』,第50巻1号,新線路,鉄道現業社,(1996.01)
3)松田務『バラクリ3年・・・-今年は「バラスト=クリーナー」-』,トワイライトゾ〜ンmanual6,ネコ・パブリッシング