日立製作所の貨車加減速装置積卸機


■はじめに
日立製作所はリニアモーター方式貨車加減速装置(L4)を国鉄と共同で開発し、その製造を担当していた。L4を整備のため走行路から取り外して輸送するための機械である貨車加減速装置積卸機も、同様に日立が製作していた。以下、本項ではこれまでに実在が確認されている唯一の積卸機である新南陽の個体(製番A40290-1・1978年製・資産管理番号17-99-99-015)について、その構造を解説する。

積卸機側面図(日立製作所1977より)

積卸機断面図(日立製作所1977より)

■積卸機の構造と使用法
新南陽の積卸機とほぼ同様の構造をした積卸機に関する実用新案登録願が、国鉄(実全昭52-088810)および日立製作所(実全昭54-050319)から提出されている。それによれば、積卸機は長い台枠(第1図1)の下に、L4を格納するための「ガーター」(第1図4)を備えた形状をしている。またガーター内にはチェーン(第2図4)駆動でレール方向に移動する「フック装置」が備わっている。L4を格納する際にはこのガーターを傾けて一端をL4の走行路内に降ろし、L4の引き上げ用ピンをフック装置に引っ掛け、チェーンを巻き取ることでガーター内にL4を引き込む仕組みとなっていた。なお、台枠上のユニッククレーンは、整備場にてガーター内に格納したL4を分解した上で積み降ろすために使われたと思われる。

積卸機のガーター。内部にチェーンが見える。写真上部は台枠のボルト接合部
(貝島コロ助氏投稿記事より)

L4の全長は約20mあるため、それを台車間に格納する積卸機はオンレールの機械としてはかなり長大であった。このため大重量になってしまうという欠点があり、L4を2分割して2層に格納することで全長を短縮し軽量化を図る案もあったが(日立製作所1976)、実現は今のところ確認されていない。また、長大なため操車場外での輸送時は分割して運ぶ必要があり、新南陽の積卸機も中央で台枠をボルト接合しているのが確認できる。

新南陽の積卸機に連結されているF形10t貨車移動機
(貝島コロ助氏投稿記事より)

■特異な保守用車としての積卸機
新南陽の積卸機は貨車用のTR41Cを思われる台車を履いており、連結には一般的な自動連結器が使用されている。また表記からは、保線区ではなく施設区の所属であることが読み取れる。資産管理番号も通常の保守用車に使われる「08(土木機器)」から始まる番号とは異なる付番がなされている。さらに、この個体には協三工業製のF形10t貨車移動機(1978年製・製番A10024)が連結されているが、こちらにも積卸機側と同じ資産管理番号が記されており、かつ積卸機と同じ製造年のため、製造当初から2台で一体の機械として扱われていたと考えられる。このように、積卸機は国鉄/JRの一般的な保守用車とはかなり異なる性格を持つ機械であった。

■文献
日本国有鉄道(1976):「貨車加減速装置の運搬装置」,実全昭52-088810.
日立製作所(1976):「貨車加減速装置積卸機」,特開昭53-023413.
日立製作所(1977):「移動体の積卸し装置」,実全昭54-050319.