BC-2


■概要
芝浦製初代バラストスイーパーBC-1の改良型。ブラシ回転数が100[rpm]から130[rpm]へと速くなりブラシ直径が800[mm]から760[mm]と小径化するなど実運用での結果を踏まえた変更がなされたほか全長も3.3[m]から2.6[m]へと小型化されていることが見て取れる。

 

■構造
当形式は台車、動車装置、バラストスイーパー装置から構成される。中空軸にゴム製のパイプつけたバラストスイーパー装置をガソリンエンジンを動力として減速装置、摩擦クラッチ、チェーンを介して回転させる。
操作は1人で行うことができ、回送時は車両限界内に吊り上げられるようになっている。

△BC-2の配置図。文献5)より

 

■導入台数
昭和46(1971)年度の配備が確認されている1)。昭和46(1971)年度末時点で国鉄に配備されたバラストスイーパーは70[台]である2)が、そのうちの多くは当形式であったと考えられる。
昭和53(1978)年に「新しい線路保守体制(以下マル新)」が妥結したのちに主力は後継のBC-3形に切り替わったと考えられるが、BC-2は国鉄からJRになった後も現場で使われ続けた。3)

私鉄では西武鉄道がBC-2を1両とBC-2Aを2両保有していた4)。また、京都丹後鉄道及び智頭急行の07マルタイにはBC-2が併結されており令和の世に入ってからもその姿を見ることができた。

 

■BC-3Aに準ずる改造
マル新妥結に伴い後継機BC-3Aが発売されたが、BC-2をマル新体制下でも使用できるよう油圧によるブラシ上下装置と60[W]の作業灯を使用するためダイナモ及びバッテリー容量を大きくした改造を受けたものもあった6)

 

■主要諸元1)5)

全長 2.6[m]
全幅 2.5[m]
全高 1.9[m]
重量 2.0[t]
ガソリン機関 形式 三菱メイキG-7L空冷4サイクルガソリン
定格出力 7.5[PS] / 1,700[rpm]
バラストスイーパー装置 直径 760[mm]
長さ 2,100[mm]
回転数 130[rpm]
速度 回送時 35[km/h]
作業時 2[km/h]
ブラシ上下速度 1.5[cm/秒](全行程30[秒])
バッテリ 40[AH]

参考文献
1)浅川泰弘・高村昭宜・前田勝美・大隈久雄『バラストスイーパーの改良』,施設教育,第25巻10号,鉄道日本社,(1972.10)
2)磯浦克敏・秋元清・伊藤宏『マルチプルタイタンパの騒音防止』,鉄道線路,第21巻8号,日本鉄道施設協会,(1974.08)
3)田中和久『バラストスイーパの改良』,新線路,第48巻1号,鉄道現業社,(1994.01)
4)大沢白水・小山宗次『バラストクリーナーによる道床交換』,鉄道線路,第22巻6号,日本鉄道施設協会,(1975.06)
5)山田栄一『道床整理(バラスト・スイーパー)作業標準』,鉄道線路,第22巻3号,日本鉄道施設協会,(1975.03)
6)内嶌弘蔵『バラストスイーパの改良』,新線路,第34巻2号,鉄道現業社,(1980.02)

脚注
1)文献1) p.68
2)文献2) p.4の表-1「主な保線機械の数量(47年3月末現在)」による
3)文献3) p.21に「現行バラストスイーパ」としてBC-2が比較対象として登場している
4)文献4) p.21の表-2「保有機一覧」による
5)文献6) p.46の表-1「諸元」による
6)文献6) p.47