■概要
1993年頃から北陸新幹線建設用として日本鉄道建設公団(現:鉄道・運輸機構)向けに製造された大型軌道モータカーである。
北陸新幹線高崎-軽井沢間の建設時、碓氷峠を長大トンネルで越えることにしたが、なお30‰の連続急勾配がつづく非常に険しい区間となった。このため、急勾配区間の軌道・電気工事において安全性を確保し、なおかつ迅速な施工を実現するためこの軌道モータカーが開発された。
60kg/mロングレール(200m/本)の運搬を行う際、急勾配区間においてはロングレール6本を軌道モータカー重連によって運搬することになった。このため、重連にて勾配を等速で下るため、軌道モータカー双方に作用する抑速装置を装備している。
抑速装置は流体式リターダであり、変速機内に装備されている。駆動軸の回転速度とあらかじめ設定した速度(5km/h, 10km, 15km/hに設定可能)との比較によって制動力が調整されるので、一定の車速で降坂することが可能である。
また、レール積載用トロにはブレーキ空走時間を短くするために一般的な自動空気ブレーキのほかに電磁自動空気ブレーキを装備している。
北陸新幹線建設工事に使用されたあと、東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹線など各地の工事を転々としている。
諸元
■ 牽引性能
積載の場合 | けん引の場合 | ||
荷重 | 速度 | 荷重 | 速度 |
– | 60[km/h]以上 | 180,000[kg] | 45[km/h]以上 |
– | 50[km/h] | 180,000[kg] | 7[km/h] |
– | 35[km/h] | 90,000[kg] | 10[km/h] |
参考文献
1)岩崎光美 『北陸新幹線建設における最新の軌道・電気工事用機械について』, R&m, 日本鉄道車両機械技術協会, (1996年10月)