MR2524


MR2524は静岡県の遠州鉄道で1両の存在が確認されている軌道モータカーである。
箱型の車体でエンジンは室内にあり1軸を駆動する。転車台を装備しており向きをアイキャッチ画像のように入れ替えることが可能となっている。

この型式の他にない特徴として小型で軽量であることが挙げられる。

△遠州西ヶ崎駅ホームから撮影した画像。当型式が如何に小さいかがわかる。

上記画像を見ていただくと奥にあるED28やホキ800よりも小さく写っていることから当型式が如何に小さいかがお分かりいただけるであろう。

 

そして自重は2.5[t]となっている。
10[t]、20[t]を超える軌道モータカーも珍しくない中で2[t]台の重量は超軽量の部類に入ると言える。

とはいえ2.5[t]というと乗用車ではそこそこ重い部類に入るのでピンとこない方もいると思うのでこの車が如何に軽いかについていくつか例示したい。

この手の箱型車体の軌道モータカーは現在でも生産が続けられており地下鉄の高所作業車でよく見かける。

上に示した例は東京メトロ所属の松山重車輌工業製のMR2571である。
高所作業台が付いていないシンプルなモータカーであるが自重は4[t]もある。

次に示すのは当型式に似た人員輸送車である。

 

駆動用のエンジンはないものの排気口らしきが見て取れるので室内に何らかの暖房設備があると推測される。
転車台もない、駆動用エンジンもない人員輸送用のトロと同等の重量となっている。

また、トキオ製の鉄製トロ(バネブレーキ付)は自重が2.3[t]あり当型式とあまり変わらない。

 

当型式が如何に軽量かはご理解いただけたと思うが特筆すべきは牽引も行うモータカーであるという点である。
自重2.5[t]程度の牽引を行う軌道モータカーとしては貨物型モータカーが挙げられる(自重2,600[kg]1))。逆に日本国内でそれ以外の例を探すのは難しい。

△南阿蘇鉄道にかつて在籍していた貨物型モータカー

牽引能力的には貨物型モータカーの半分程度の能力であるが、鉄製トロを2両ないし3両つないでのレール運搬等の作業に従事している。

貨物型モータカーは昭和40年代には生産を終えてしまったと思われるが、当型式は軽量で類似点も多いことから平成年代に現れた(製造は平成元年1月)貨物型モータカーという側面もあるのではないかと思う。

 

■主要諸元(車内に配置された性能銘板による)

勾配 積載荷重[kg] けん引荷重[kg] 速度[km/h]
単車時速度 けん引時速度
水平線 800 5,000 45 40
10/1000 800 2,000 40 35
25/1000 800 1,000 35 30
35/1000 800 500 30 20

注釈
1)文献1)の1表による

参考文献
1)JRS規格「貨物用軌道モータカー」