概要
東海道新幹線の建設工事がひと段落した後、新幹線保守用の軌道モータカーが必要となった。そこでTMC101Aの改良型として製作されたのがTMC101Bである。
基本的な構造はTMC100BやTMC101Aと同様であるが、ブレーキ装置の調圧器が変更され、調圧器制御用のジャンパケーブルが省略された。
また、転車装置については初期のものは省略していたが、後期型では富士重工業製の大型自動転車装置が装備され、荷台に3[t]積載したまま転車が可能となった。
TMC100BS、TMC101Aと同様に副変速機内の差動装置の動作を止めるデフロック機構が備えられている。
標準型のほか、建築限界測定装置を装備した代用確認車、レール研削装置付、バラストレギュレータ付、除雪装置付、2.5[t]吊クレーン付、トンネル掃除装置付などさまざまなオプション装備品を付けた車両が存在し、黎明期の新幹線保守の大役を担ったモデルであった。
東海道新幹線向けのほか、標準軌の私鉄向けにも納入されており、京阪神急行電鉄(現:阪急電鉄)や阪神電気鉄道にも存在した。阪神電気鉄道向けのものは後年高松琴平電鉄に譲渡されていた。
製造番号321~。
諸元
■ 寸法・重量
長さ | 5,905[mm] |
幅 | 2,459[mm] |
高さ | 2,740[mm] |
軌間 | 1,435[mm] |
軸距 | 3,100[mm] |
車輪径 | 660[mm] |
自重 | 8.5[t] |
■ エンジン
エンジン名称 | いすゞ DA120P |
エンジン形式 | 水冷4サイクル 6気筒 |
エンジン出力 | 89[PS]/220[rpm] ※ |
※ JIS規格の呼称変更により新表示では102[PS]
■ 動力伝達
クラッチ | 乾燥単板式、油圧クラッチ |
変速機 | 前進4段、後進1段 |
逆転機 | 前進1:後進0.84 |
駆動輪 | 前後2軸駆動 |
■ ブレーキ方式
主ブレーキ方式 | 空気ブレーキ |
補助ブレーキ | ネジ式手ブレーキ、センターブレーキ |
■ 主要装置
転車装置・転車台 | 大型自動転車装置 |
離線装置 | 離線車輪付手押 |
撒砂装置 | 全車輪前後方向切替 |
連結器 | 前位 簡易自連 後位 自動連結器 |
連結器高さ | 880[mm] |
■ 積載荷重・定員
荷台積載荷重 | 2.5[t] |
運転室座席定員 | 3人 |
■ 空気・燃料容量
空気圧縮機形式 | C400 |
元空気ダメ容量 | 140[L](70[L]×2) |
補助空気ダメ容量 | 15[L] |
燃料タンク容量 | 72[L] |
■ 牽引性能
勾配 | 積載重量 | 牽引重量 | 単車積載時 | 重量牽引時 |
水平線 | – | – | – | – |
10‰ | – | – | – | – |
25‰ | – | – | – | – |
参考文献
1)松田務 『MC -一般型モーターカー見聞録-』, トワイライトゾ~ン マニュアル11, ネコ・パブリッシング, (2002)
2)尾西定明 『大型軌道モータカーの構造と取扱』, 交友社, (1967)