△PC05Tの作業の様子。文献1)より
■概要
コマツが交通建設と共同開発で製作したPC05-7ベースの軌陸バックホウである。平成7(1995)年1月に初号機が完成した。
■開発の経緯
交通建設は平成2(1990)年3月にPC02Tを2台購入し閑散線区工事及びMTT跡作業に投入した。現場で使用した結果パワーアップが必須となったためPC05Tバラストスコッパ―をコマツと共同開発することとなった。
PC02TとPC05Tの諸元を比較すると以下の通りとなる。
PC02T | PC05T | |
重量 | 650[kg] | 1,850[kg] |
エンジン出力 | 4.5[ps] | 13[ps] |
全長 | 2,370[mm] | 4,050[mm] |
全幅 | 1,345[mm] | 1,585[mm] |
バケット容量 | 0.012[m^3] | 0.04[m^3] |
最大床面掘削半径 | 2,565[mm] | 3,515[mm] |
履帯間隔 | 540[mm] | 730[mm] |
上下油圧シリンダー | ‐ | Φ60×Φ30 |
走行速度(回送時/作業時) | 1.4/1.2[km/h] | 15/1.8[km/h] |
エンジン出力、バケット容量、レール走行速度など機能が大幅に向上したほか道床掻き上げ速度が1.8[km/h]とMTTの跡作業にも十分対応できるようになった。
■PC05T 2号機の開発
PC05TとなりPC02Tと比べ作業効率が一段と改善された一方でさらに新しい問題もでてきた。フレームからの改良が必要だったため新規に2号機を平成7(1995)年5月に発注し12月に完成した。
主な改善点は以下の通り。
・作業中に履帯が浮いていると安定性が悪く掻き上げ荷重過大で脱輪しやすかったため履帯幅を730[mm]から1,130[mm]に変更。
・点検及びレバー操作がしづらかったためフレーム幅を368[mm]から580[mm]に拡大
・工具箱を追加
・車体持ち上げ力アップのため油圧シリンダをΦ60×Φ30からΦ90×Φ45へ変更
以上のような変更を行った2号機は施工速度が向上したことに加え道床の掻き上げ状況も安定する結果となった。
参考文献
1)中嶋利彦『道床整理作業の機械化』,新線路,第50巻9号,鉄道現業社,(1996.09)