PC02T

△PC02T-1Wバラストスコッパ。文献1)より


■概要
PC02ミニ油圧ショベルベースの軌陸バックホウである。
コマツ製の軌陸バックホウにはスーパーライナーの名称がつけられているが当形式にはバラストスコッパという名称がつけられている。

 

■PC02T-1N(狭軌専用) / PC02T-1W(標準軌狭軌両用)
1992(平成3)年7月に発売された軌陸両用の掘削機である。
作業・回送は全てレール上で行うため絶縁対策を施してある。
建設省基準をクリアする低騒音設計を採用し、広幅バケット、広幅バランスプレート、ロングアームを標準装備していてコンパクトなボディにもかかわらず広範囲な道床整理が可能となっている。
2トントラックでの輸送やトラック装着のクレーンによる線路への直接乗り入れもできる。

平成2(1990)年3月に交通建設がPC02Tを2台購入し閑散線区工事及びMTT跡作業に投入した。人力作業を機械化でき道床作業の省力化が図られたが以下の3点の問題があった。
1.アームが短いため道床厚の多い箇所で道床尻にバケットが届かない。
2.作業速度が遅いのでMTTの跡作業に追いつかない。
3.軌道走行速度が遅いため現場までの到着に時間がかかる。

パワーアップが必須であったため交通建設では以上の問題を解決するためPC02Tを改良するのではなくPC05Tバラストスコッパ―をコマツと共同開発することとなった。

交通建設以外の使用実績としては東鉄工業が平成3(1992)年9月から平成4(1993)年3月までの期間に実施した八高線八王子-拝島間のPCマクラギ更換工事において当型式が道床かき込みと道床整理に使用されている。

 

■主な仕様

バケット容量 0.012[m^3]
機械重量 650[kg](狭軌用) / 700[kg](標準軌狭軌両用)
定格出力 4.5[PS] / 2500[rpm]
最大掘削深さ 1.51[m]
最大掘削半径 2.565[m]
走行速度 1.7[km/h](レール上)
1.4[km/h](地上)
輸送時全長×全幅 2.60[m]×1.345[m](狭軌用) / 2.60[m]×1.71[m](標準軌狭軌両用)
騒音レベル 周囲70[dB(A)] / 7[m]  / 耳元79[dB(A)]

 

■PC02T-1NA(狭軌専用) / PC02T-1WA(標準軌狭軌両用)
1995(平成8)年3月にモデルチェンジして発売になったモデルである。
オンレールでの走行速度が10[km/h]にアップし移動、回送時間が短縮された。
駆動輪とガイド輪が跳ね上げ・ピン固定式で90[°]方向変換による横取りが容易となっており、レールへの乗り降りが速やかにできるようになっている。
オプションで超ロングアーム、ツールボックス兼用ブレード、スイーパーといったオプションが用意されている。

■主な仕様

バケット容量 0.012[m^3]
機械重量 770[kg](狭軌用) / 800[kg](標準軌狭軌両用)
定格出力 4.5[PS] / 2500[rpm]
最大掘削深さ 1.47[m]
最大掘削半径 2.645[m]
走行速度 10[km/h](鉄輪回送時)
1.2[km/h](ゴムクローラ作業時)
輸送時全長×全幅 2.375[m]×1.345[m](狭軌用) / 2.375[m]×1.71[m](標準軌狭軌両用)
騒音レベル 周囲70[dB(A)] / 7[m]  / 耳元79[dB(A)]

参考文献
1)調査部会『新機種ニュース』,建設の機械化,No.517,日本建設機械化協会,(1993.03)
2)調査部会『新機種ニュース』,建設の機械化,No.545,日本建設機械化協会,(1995.07)
3)中嶋利彦『道床整理作業の機械化』,新線路,第50巻9号,鉄道現業社,(1996.09)
4)横山健二・尾高達男・池脇逸志・伊藤義喜『機械編成群によるPCまくらぎ更換』,新線路,第46巻7号,鉄道現業社,(1993.07)