東海道新幹線の保守基地


■保守基地
保守用車の拠点としておおよそ50[km]おきに配置されている。
保守作業の要となる保守基地は大規模な敷地に主に下記の設備を備えている。

 

設備 備考
留置線(保線) 保線部門保守用車の留置に用いる
留置線(電力) 電力部門保守用車の留置に用いる
検修線 保守用車の検査・修繕に用いる
検修庫 保守用車の検査・修繕に用いる ピットや天井クレーンを備える
材料線 在来線からのレール等の材料の授受に用いる 門型クレーンを備える
バラスト積込線 バラストの積込に用いる 積込ホッパを備える
機廻線 機廻しに用いる
給油設備 給油に用いる
照明設備 保守基地の照明に用いる
レール溶接設備 50mレールのロングレール化に用いられる

 

■機械式横取基地
保守基地は設置される間隔が広く、保守基地から作業場所までは移動時間を要するので、これを補完するために横取基地が設けられている。
機械式横取装置はR100の曲線レールを本線レールに重ねて分岐線への入線を可能とする構造で、保守用車側に横取装置を設ける必要が無い利点がある。
東海道新幹線では道床交換編成の収容のために多くの機械式横取基地が設置されている。

 

設備 備考
留置線 保守用車の留置に用いる
給油設備 給油に用いる
照明設備 横取基地の照明に用いる
バラスト排出設備 道床交換作業時の発生バラストの処理に用いる

 

△機械式横取基地 右側の白い部分が可動部
△機械式横取装置を通過しようとするTMC101とBNR60 参考文献1)より

 

■固定式横取基地
固定式横取基地は保守用車を転車台で持ち上げた後に、本線レールと直交する横取レールを車体下部へ差し込み、保守用車の横取車輪でマクラギ方向に走行することで横取基地へ収容する基地である。
横取装置を有した1両編成の保守用車の収容に限られるため、主に電力設備の点検に用いる保全車(MW)の収容に用いられる。
京都駅では確認車(R400)も固定式横取装置に収容しており、全国的に見ても珍しい例である。

 

設備 備考
横取装置 保守用車の横取に用いる
給油設備 給油に用いる
照明設備 横取基地の照明に用いる

 

 

■横取装置を持たない横取基地
保守用車を収容するための地上設備を持たない簡易な横取基地で、本線レールに平行してレールが敷いてあるのみである。
軌道自転車の留置等に使用される。

△軌道自転車が留置される横取基地

 

■東海道新幹線の保守基地一覧





注1.各保守基地・横取基地の名称は参考文献に記載の無い物は近隣の駅名・地名を記載しており、正式名称ではない。
注2.キロ程は参考文献に記載の無い物はキロ程看板を目安に記載しており、誤差を含む。
注3.横取基地の有効長は参考文献に記載の無い物はGoogle Mapによる距離測定値であり、誤差を含む。

 

■参考文献
1)『機械式横取装置(表紙)』,新線路,27巻,9号,鉄道現業社,(1973.9)
2)兎本彰和『新幹線の保守基地(上)』,新線路,28巻,4号,鉄道現業社,(1974.4)
3)兎本彰和『新幹線の保守基地(下)』,新線路,28巻,5号,鉄道現業社,(1974.5)
4)長門彰『新幹線の横取基地』,新線路,31巻,1号,鉄道現業社,(1977.1)
5)石倉克之『新幹線(東京~新大阪) 保守基地の増強』,新線路,32巻,1号,鉄道現業社,(1978.1)
6)久保隆男『新幹線 いま・これから』,新線路,32巻,9号,鉄道現業社,(1978.9)
7)名倉伊三美『新幹線の 最後に出来る保守基地』,新線路,35巻,10号,鉄道現業社,(1981.10)
8)松本竜一『新横浜横取基地の新設』,新線路,64巻,8号,鉄道現業社,(2010.8)
9)西尾晃一『東海道新幹線の保守基地』,新線路,68巻,3号,鉄道現業社,(2014.3)