金沢ゆめのゆ

イントロダクション


世界はこれをスーパー銭湯の標準システムとすべきだ。

保守用車鉄の行動時間は不規則だ。
深夜0時に作業着手時間が訪れるとともに出庫、回送、作業等々の撮影をこなし、気がつけば時間は草木も眠る丑三つ時。ヘロヘロになって近くの町まで戻ってみれば午前3時半。
普通ならば門限の無いホテルを取っていなければどうしようもなく、快活クラブのお世話になる時間である。しかしながら、何度もこのコラムで言っているように、我々だって熱い風呂に入って暗い部屋で横になって寝たい。そういうときに役立つのが健康ランドであるが、健康ランドもなかなか深夜帯は受付をしていなかったりする。
しかし、今回紹介する金沢ゆめのゆは、24時間受付をしている素晴らしい健康ランドである。そのほかの点においても他の追随を許さない素晴らしいシステムにより、24時間時間に不規則な我々に高いクオリティのサービスを提供してくれるのだ。

なお、本稿は2024年2月現在の情報を示すものとする。

 

レビュー


皆さんは「○○レジャーランド」と名の付くゲームセンターのチェーン店をご存知だろうか。おもにロードサイドにある六芒星マークの看板が印象的なゲームセンターチェーンである。
今回紹介する金沢ゆめのゆは、その「○○レジャーランド」と運営母体を一にする健康ランドである。

まず入って下駄箱に靴を預けると、その直後に面食らうことになる。
下駄箱の隅に下駄箱の鍵についたバーコードをかざしてから利用する入場券発行機があり、その入場券を自動改札機に通して入場する。すなわち受付は無人で全自動なのだ。
この金沢ゆめのゆの料金システムは面白い。2時間までは千円弱の入場料が掛かるのみなのだが、それを超えると自動的に深夜料金が加算されるのである。したがって、入場時点では日帰り客も宿泊客もそこに貴賤の差がないのだ。
金沢ゆめのゆに宿泊する場合、風呂に向かうよりも前に先にフロントの横にある仮眠室の予約機で寝床の確保をするべきだ。普通のリクライニングチェアはもちろん、フラット席やテント席などを選ぶことができる。デラックスルームという名の簡易個室も存在するが、これについてはフロントで直接受付を行うが、ここについては予約もできるので事前に予約する方が賢明だろう。

脱衣場の手前に山積みにされたタオルと館内着を取って、脱衣場に入る。とにかくロッカーが多い上に洗面所もずらりと並んでおりドライヤー待ちが発生するべくもない。地味だがこういう点も加算ポイントである。
最近のスーパー銭湯は、サウナであったり露天風呂であったりどこか特徴になるような場所だけが広く作ってあって、それ以外の部分はしょぼかったりするものだが、金沢ゆめのゆはそんなことはない。すべての点において妥協を許さないマキシマリズムで風呂が作られている。大浴場、炭酸泉、電気風呂、マッサージ風呂、露天風呂、サウナなどがあるが、それらひとつひとつが非常にゆったりと大きく作られているのである。
お湯はなんと天然温泉。ナトリウム泉系のしょっぱいお湯だが、それでいてしっとりとした泉質を兼ね備えている。しかし、せっかくの天然温泉なのにそれを売りにしている様子はなく、それどころかお湯の出口に富士山の溶岩石を並べてみたり、あるいは竹酢液を混ぜていることを売りにしているのは謎であった。

金沢ゆめのゆの仮眠室は、先述のとおり事前にフロント横の予約機であらかじめ任意の席を確保してからでないと入場できないシステムになっている。これらはすべて下駄箱の鍵についたバーコードがキィになっている。事前に席を確保できるというのはうれしい。事前に目当ての席を予約できない場合、風呂に入っているときもご飯を食べているときも席の確保の心配ばかりするハメになるからである。
広い仮眠室の中には、リクライニングチェアからフラット席、テント席、デラックスルームなどがある。筆者はフラット席を利用したが、やはり平坦なところで横になって寝られるというのは有難かった。

チェックアウトはフロントで行うが、フロントはもちろん24時間受付。深夜帯はチェックイン・チェックアウトを行わない店舗が多い中、深夜でも自由に出入りできるという点は本当に素晴らしい。しかも深夜帯を風呂のメンテナンスに充てる店舗が多いところ、ここは深夜でも(多少の制限はあれ)風呂に入ることができるのである。

金沢ゆめのゆの効率的でスマートなシステムは、はじめ面食らうかも知れないが、これほど便利なものはない。世界はこれをスーパー銭湯の標準システムとすべきだ。

金沢ゆめのゆは、北陸新幹線の各種保守用車や能登方面へ行く際など、さまざまなシーンで活用していくことができる。

 

宿泊地情報


店名 金沢ゆめのゆ
住所 石川県金沢市藤江南3丁目26
営業時間 24時間
公式webサイト https://yumenoyu.net/kanazawa/