R600


■概要
非接触式限界支障検知システムを備えた確認車。
箱型車体に多くの前照灯が装備されているのが特徴で、2015年の北陸新幹線(JR東日本区間)開業時に導入されたのを皮切りに北海道新幹線・東北新幹線・北陸新幹線(JR西日本区間)・東海道新幹線・山陽新幹線・西九州新幹線への導入が確認されている。

 

■バリエーション
同型式の中で大きく分けて2種類の車体形状があり、JR東日本のパートナー会社が東北新幹線・北陸新幹線で、JR九州が西九州新幹線で導入している前面が前に傾斜しているタイプと、北海道新幹線・東海道新幹線・山陽新幹線・北陸新幹線で導入されている前面が後ろに傾斜しているタイプが存在する。

 

■支障物検知装置
従来の確認車は検知棒が支障物に物理的に接触することで支障物の有無を検知していたが、本形式ではIHI製の非接触式限界支障検知システムを搭載しており、検知棒と併用して支障物を検知することが可能である。2)
検知方法として、遠距離カメラ、近距離カメラ、三次元レーザーレーダを備えており、400m先の支障物を検知することができる。

△接触式限界支障検知装置 文献 1)より

 

△非接触式限界支障検知装置 文献 1)より

 

■自動運転システム
駅などの自動運転開始位置から設定した停止位置まで、アクセル・ブレーキを制御して自動運転を行う自動運転システムを搭載している。

△運転台正面左が支障物検知モニタ、右側が自動運転システムモニタ

 

■冗長性
動力系統・電気系統・ブレーキ系統が二重系となっており、1系統にトラブルが発生した場合でももう1系統を用いて作業を継続することができる。
また、機関室は系統ごとに区画分けがなされており、1系統に損傷が発生した際にもう1系統へ波及しにくい構造となっている。

△運転室より機関室通路を見る 機関室通路の左側にエンジン1、右側にエンジン2が配置されている

 

■台車
新潟トランシス製 FU-12SD 1軸台車を2つ備えている。

 

■除雪装置
北海道新幹線タイプとJR東日本タイプ、JR西日本(北陸)タイプには除雪装置が装着されている。

 

諸元

■寸法・重量

長さ 10,900[mm]
3,332[mm]
高さ 3,864[mm]
軌間 1,435[mm]
自重 30.0[t]

 

■エンジン

三井ドイツ TCD 2013 L06 4V(227[kw]/2,200[rpm] x2基)

 

■パワーシフトトランスミッション

日立ニコトランスミッション 3要素1段1相形 x2基

 

■ 走行性能(JR東日本タイプ)

勾配 牽引重量 単車時 牽引時 積載荷重
水平線 150[t] 120[km/h]以上 90[km/h]以上 0.5[t]
10‰ 150[t] 105[km/h]以上 35[km/h]以上 0.5[t]
20‰ 150[t] 90[km/h]以上 25[km/h]以上 0.5[t]
30‰ 150[t] 75[km/h]以上 14km/h]以上 0.5[t]

 

■ 走行性能(北海道新幹線タイプ)

勾配 牽引重量 単車時 牽引時 積載荷重
水平線 160[t] 120[km/h]以上 40[km/h]以上 2.0[t]
12‰ 160[t] 110[km/h]以上 20[km/h]以上 2.0[t]
25‰ 160[t] 70[km/h]以上 10[km/h]以上 2.0[t]

 

 

参考文献
1) 第一建設工業「鉄道の守(も)り人 ~暮らしを支え 明日へつなぐ~」
https://www.daiichi-kensetsu.co.jp/news/3500/
2) IHI 特開2016-88183「支障物検知システムおよび鉄道車両」
https://patents.google.com/patent/JP2016088183A
3)森政明『新幹線確認車 R600型』,新線路,70巻,5号,鉄道現業社,(2016.5)
4)藤川央玖人『新幹線保守用車の紹介 新幹線用確認車R600 新幹線用電気作業車MKW』,建設機械施工,75巻3号,日本建設機械施工協会,(2023.3)