NICHIJOの軌道モータカーロータリー

概要


元は道路用除雪車を中心に手掛けて来たメーカであるが、1995年に黒部渓谷鉄道向けHTR170Rを開発・製造し、2000年前後からHTR400R、HTR600Rといった機種でJR向けモータカーロータリーの分野にも参入しはじめた。長らく日本除雪機製作所と称したが、2018年に現社名のNICHIJOに改称した。

日本除雪機製作所は元は三和興業という留萌鉄道の関連企業であり、1958年に日本初のディーゼル除雪機関車留萌鉄道DR101CLの除雪装置を開発・製作している。このとき機関車部分の製造を担当したのが新潟トランシスの実質的な前身である新潟鐵工所であった。

現在ではモータカーロータリー業界において新潟トランシスとしのぎを削っているが、元々両社は道路用除雪車の分野でも競合する関係性にあった。

 
機種



日本除雪機製作所『創立50周年記念社史 じょせつき』日本除雪機製作所, 2012年より引用

1995年に日本除雪機製作所がはじめて手掛けた鉄道向け除雪車。
黒部渓谷鉄道において”SP1″の形式名を持つ。
 


2016年に製作された黒部渓谷鉄道向け機種。
“SP2″の名でよく知られている。
 


2000年頃から製作されている400馬力級の機種。

富士重工業・MCR400-Wは、本機種のOEM生産品とされる。
類似車種に新潟鐵工所・MCR-400と新潟トランシス・MCR-400が存在する。

派生機種が存在し、以下のように分類される。

・HTR400R
基本形となる機種。一般的なモータカーロータリー。

・HTR400RB
通常後位にのみ装備されるロータリー除雪装置を前位にも装備した双頭形。
 


2000年頃から製作された600馬力級の機種で、現在同社製で最も多く見ることができる。

派生機種が存在し、以下のように分類される。

・HTR600R
基本形となる機種。
かつてJR北海道に存在したDBR600(2000年~2014年の間車籍を得ていたタイプ)もここに含まれる。

・HTR600RS
標準軌向けの機種。
秋田新幹線で見られる。

・HTR600RW
重連にて高速ラッセル除雪を行うことができる機種。
お互いに前位側にて背中合わせに連結され、後位側にラッセル除雪装置を備え、前位側に専用の連結装置を備える。

・MCR600
2000年に登場したJR東海向け機種。実質的にHTR600Rと同一と考えられる。
製造銘板には日本除雪機製作所のほかに納入元として日本車輌製造の名前が刻まれている。

・N-MCR600D
2001年頃に登場したJR北海道向け機種。
黎明期は形式名が迷走しており、車籍を有さないJR北海道向け機種は「N-MCR600」の名で呼ばれた。

 
参考文献


1)株式会社日本除雪機製作所 社史編纂委員会, 『創立50周年記念写真 じょせつき』, 株式会社日本除雪機製作所,(2012)