RV

RVは昇降旋回式作業台を装備する架線作業車である。日本鉄道建設公団に納入されており、RVは Revoluing deck lift Vehicle を指す。主に新線建設における架線作業に延線された架線に対し碍子をかけたりトロリ線をちょう架線にちょう架するほか、架線金具の取り付け調整など、従来ハシゴ作業で行っていた作業を作業台より実施可能とした車両である。
狭軌仕様のRV-1と標準軌仕様のRV-Sがある。

 


RV-1

△RV-1 作業台を旋回昇降させてる様子 文献6)より

■概要
初期のRVはTMC100Fに準ずる軌道モータカー(89PS)に昇降旋回作業台とガイドローラーがついた構造であり、昭和45年10月に2両が完成した。
旋回昇降作業台は回転半径が4,500mmで床面の最大高さはレール面から最大5,000mm(昇降高さ1,980mm)、左右90°に旋回でき、最大400kgの荷重に耐えられる構造である。
ガイドローラーは車体前部と作業台上に装備しており、4,550~5,400mmの間で昇降可能である。
昭和45年に嬬恋線の長野原〜大前間13.3kmにおいて試験使用された。その後、武蔵野線の府中本町〜新松戸間の電車線工事(昭和47〜48年)においても使用された。

 

■ 諸元

全長 5780[mm]
全幅 2740[mm]
全高(格納時) 4000[mm]
自重 11[ton]

 

■ エンジン

機関 89[PS]/2200[rpm]

 


第1世代RV-S

△新幹線仕様でRV-1と大きく形状が異なる 文献7)より

■概要
RV-Sは上越新幹線の新線建設用に開発された架線作業車である。昭和53〜54年度にかけて10両が日本鉄道建設公団に購入されている。
架線延線車1台と本車2台によって編成され、電車線工事に従事した。
延線作業時の付帯作業の他、電柱への器材装着等にも使用された。

基本的な構成はRV-1と同様だが、車体や機関が大型化している。
一方、建設工事の特性から機械の転用に伴う解体、輸送、組立および高架橋上へのつり上げを考慮した設計の為、同時期の国鉄の電気作業車と比較すると小型かつ軽量である。
旋回昇降作業台は回転半径が2.8mで床面の最大高さはレール面から最大5,000mm(昇降高さ1,350mm)、左右90°に旋回できる構造である。
架線懸架装置を車体前部に装備しており、ちょう架線を5,750~7,100mmの間で昇降可能である。
また2tonクレーンを装備しており、吊り上げ作業が可能となっている。
加えて油圧駆動の離線装置を備えている。

 

■ 諸元

全長 7574[mm]
全幅 3000[mm]
全高 4450[mm]
自重 19.5[ton]

 

■ エンジン

機関 185[PS]/1800[rpm]

 

■ 走行性能

最高速度 30[km/h]

 


第2世代RV-S

△文献8)より

■概要
新幹線の架線金具の取替及び装柱関係に使用される架線作業車である。
第1世代と比較して若干小さくなっている。

北陸新幹線の高崎~長野間の建設工事より導入されたと思われる。本区間では16~30‰の急勾配区間が、高崎~軽井沢間で82%、軽井沢~長野間で27%を占めることから、急勾配仕様となっている。

架線ガイドローラ装置、架線位置簡易測定装置、油圧抑速付定速走行機構を備えている。
旋回昇降作業台は5600mm×1800mmの広さで手すり付パネル構造で安全性の向上が図られている。床面の最大高さはレール面から3200mmである。
アウトリガの代わりに油圧動作のレールキャッチを装備し、省力化が図られている。

 

■ 諸元

全長 7400[mm]
全幅 2700[mm]
全高 4100[mm]
自重 17[ton]

 

■ エンジン

機関 108[PS]/2000[rpm]

 

■ 走行性能

最高速度 30[km/h]

 


第3世代RV-S

△文献9)より

東北新幹線の盛岡~八戸開業に向けての工事より導入されたものと思われる。

第2世代で車体中央にあった運転室が車端に移っていることが大きな特徴である。

■ 諸元

全長 7510[mm]
全幅 2750[mm]
全高 4100[mm]
自重 17[ton]

 

■ エンジン

型式 いすゞ6BD1型ディーゼル
機関 108[PS]/2200[rpm]

 

■ 走行性能

最高速度 30[km/h]

 


参考文献
1.日本鉄道建設公団 東京支社『上越新幹線電気工事誌』,(1983.11)
2.日本鉄道建設公団 関東支社『津軽海峡線工事誌(電気)』,(1988.8)
3.電車線工業協会『「電車線技術進展のあゆみ」Q&A』,(1997.5)
4.山口浩一, 樋口芳久『日本鉄道建設公団における 電車線工事の機械化』,電気鉄道,27巻,6号,鉄道電化協会,(1973.6)
5.浅香正賢『昭和53年度官公庁、建設業界で採用した新機種 日本鉄道建設公団』,建設の機械化,353号,鉄道電化協会,(1979.7)
6.富士重工業株式会社 車両事業部 車両工場概要 パンフレット
7.富士重工カタログ 架線作業車(旋回昇降作業台付) [型式:RV-S]
8.富士重工カタログ 新型架線作業車(旋回昇降作業台付) [型式:RV-S]
9.鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部関東支社『東北新幹線電気工事誌 : 盛岡・八戸間』,(2004.3)