新潟鐵工所の軌道モータカーロータリー

概要


新潟鐵工所は、1959年に国鉄の技術研究課題として「ロータリー式除雪車の試作」が取り上げられたときからモータカーロータリーの開発・製造に関わって来たモータカーロータリーのパイオニアである。
1959年にMC型軌道モータカー(ロータリー装置付)の第1号機を製造して以来、40年以上にわたり日本におけるモータカーロータリーの需要をほぼ一手に引き受けて来た。

2001年に会社更生法を申請し、モータカーロータリーの製造は2003年から新潟トランシスへと引き継がれている。

 
機種


1959年から1975年頃までに製造されたモータカーロータリーには製造銘板に形式が記載されておらず、すべて「軌道モータカー(ロータリー装置付)」とだけ記載されている。
のちに『新潟鐵工所100年史』(1996年)にてこの世代の機種がMCからMC4として以下のように分類されている。

・MC(1959年登場)
高効率の除雪を狙いワンステージ式バイルハック型のロータリー除雪装置を装備したが、すぐにツーステージ式リボンスクリュー型に改造される。

・MC1(1961年登場)
1961年にMC型での試験結果を元にツーステージ式リボンスクリュー型のロータリー除雪装置が装備されるほか、後位に折畳み雪カキが装備されている。

・MC2(1963年登場)
MC1型をベースとした初の量産機種。投雪方向を制御できるようロータリー除雪装置にシュートを追加したほか、後位に大型の固定雪カキが装備された。
ロータリー除雪装置のオーガがスクリューレーキ型に変更されている。

・MC3・4(1964年登場)
初のフルモデルチェンジ機種。走行用エンジンが大型化され、後のMCR-4シリーズに似たスタイルとなった。マイナーチェンジされたMC4型も存在する。
 


1976年から1992年頃にかけて国鉄・民鉄向けに大量に供給されたベストセラー機。

MC3・4をベースとして除雪用・走行用エンジンの大型化、ロータリー除雪装置の掻寄せ翼に上下機構が追加され、後位側雪カキに開閉翼が追加された。
ロータリー除雪装置のオーガがリボン状に近づいたスクリューレーキ型に変更されている。

MCR-4シリーズは以下のように分類される。

・MCR-4(1976年~1981年)
MCR-4シリーズの基本形。

・MCR-4A(1982年~1992年)
動力系がリニューアルされ、エンジン始動時のデコンプ操作が不要となった。

・MCR-4S
MCR-4シリーズの標準軌向け機種。
 


1979年に登場した新幹線向け1エンジン型モータカーロータリー。

330馬力エンジンを1基搭載し、回送時は動力をすべて走行用に振り向けることで高速回送を可能とし、除雪時には機械式の動力分配機構により動力を除雪用と走行用に振り分ける機構を持つ。
 


1992年に登場したHST方式の600馬力級モータカーロータリー。

600馬力エンジンを1基搭載し、トランスミッションにより動力を走行用と除雪用に振り分けている。走行は油圧駆動(HST方式)としている。
ロータリー除雪装置のオーガがMC1型以来にリボンスクリュー型へと戻った。

N-MCR-600シリーズは以下のように分類される。

・N-MCR-600
N-MCR-600シリーズの基本形。

・N-MCR-600-M
後位のラッセル装置をマルチプラウとした機種。

・N-MCR-600S
N-MCR-600シリーズの標準軌向け機種。
 


1998年に登場したN-MCR-600をベースとした400馬力級モータカーロータリー。

後継機種として新潟トランシス・MCR-400が存在するほか、類似機種として日本除雪機製作所(現:NICHIJO)・HTR400Rや富士重工業・MCR400-Wが存在する。
 


1993年に登場した東海道新幹線関ケ原地区向けブラシ除雪車。
レール面下の雪をブラシにより取り除くことを狙って開発された。

1993年に登場した試作車は自走することができず、他のモータカーにより牽引された。
1995年から1997年に登場した量産車は自走が可能となったが、一方方向にしか除雪作業ができない。

2012年から2016年に新潟トランシス製の新型SRB-6000が導入されたため、全車引退している。

 
参考文献


1)松田務, 『モロ、ハイモ』, トワイライトゾ~ン マニュアル14, ネコ・パブリッシング, (2005)
2)社史編纂委員会, 『新潟鉄工所100年史』, 新潟鐵工所, (1996)