■概要
1992(平成4)年に導入したPlasser&TheurerのSIM 15 Tの更新により2006(平成18)年3月に導入されたバラストスイーパー。
砕石補充用に12[立米]のホッパーを持ちマルタイによる搗き固め作業後の砕石整理を行う。
小田急電鉄では先代のSIM 15 T(PT社製小田急向けバラストスイーパー1号機)もマルタイとセットで作業を行っていたが施工速度がマルタイよりも低かったためマルタイが800[m/一晩]の施工能力を持っていたにもかかわらず施工延長を平均600[m/一晩]に制限せざるを得なかった。当形式は施工延長を600[m]から800[m]に延ばすことを主目的として開発、導入が行われた。
■車体構成
SIM 22 Tの構成は以下の構成図の通り。
進行方向側が動力車でスイーパートレーラーを牽引する形となっている。
バラストスイーパーの役割はマルタイ施工後の砕石整理及び砕石補充を行うものである。
マルタイによる搗き固めが行われた直後は軌道内外にバラストが散乱している。また軌道の扛上によりバラストも不足している状態となる。バラストを整理するのがスイーパー装置で、補充するのがホッパー装置の役割となる。
■スイーパー装置
SIM 15 Tは2機のスイーパー装置を備え第一スイーパーであらなおしをし第二スイーパーで仕上げを行っていたが、細かいバラストの取り残しがあった。そこで第三スイーパーを搭載し径の細かいバラストの整理機能を持たせている。
また、3つのメインのスイーパーブラシ以外にガードレールのない区間用のスイーパー装置及びレール締結装置用回転ブラシを装備している。
■ホッパー装置
ホッパーユニットの積載量を8[立米]から12[立米]に変更し、マルタイの扛上量が多い場合の砕石不足を解消している。ホッパー上部にはバラスト積載時のほこり除去を行う散水装置を装備、ホッパー底部にはコンベアベルトを装備しホッパーユニット内の砕石を均等に取り卸せるようになっている。砕石取り卸しを行うホッパーシュートは片側のレールにそれぞれレール内側部・外側部・道床肩部の計6か所設置している。取り卸し量は設定可能でホッパーシュートが自動開閉して取り卸しできるようになっている。
■主要諸元(SIM 15 Tとの比較)
SIM 22 T | SIM 15 T | ||
全長[mm] | 20,624 | 14,780 | |
全幅[mm] | 2,800 | 2,800 | |
全高[mm] | 3,790 | 4,050 | |
重量[t] | 56 | 38 | |
軸間距離 | 主車両[mm] | 7,500 | 6,000 |
ボギー台車[mm] | 1,500 | 1,500 | |
スイーパートレーラー[mm] | 5,400 | ‐ | |
走行速度 | 回送時[km/h] | 60 | 60 |
作業時[km/h] | 2.5 | 2 | |
牽引能力[t] | 63 | 60 | |
最小曲線半径 | 回送時[m] | 100 | 100 |
作業時[m] | 200 | 400 | |
最大カント[mm] | 120 | 115 | |
燃料タンク容量[L] | 970 | 500 | |
作動油タンク容量[L] | 900 | 500 | |
散水タンク容量[L] | 2,000 | 2,000 |
参考文献
1) 伊岳商事 第3回鉄道技術展パンフレット「多機能バラスト作業車」
http://www.itake.co.jp/img/mtij/2013pdf/01hosyukikai.pdf
(2019.02.04)
2)勝俣真,上楽秀人『新型バラストスイーパーの導入』,日本鉄道施設協会誌,2006年3月号,日本鉄道施設協会,(2006.03)
3)『線路の保守作業・検査用機械』,新線路,第61巻4号,鉄道現業社,(2007.4)