R300B

概要


R300Bは、1978年に登場した東北・上越新幹線向け確認車である。

当時、新幹線における確認車としては1972年3月に登場した山陽新幹線新大阪-岡山間用R300、東海道・山陽新幹線用R300Aが存在したが、このうちR300Aの寒冷地・高速仕様として開発されたものがこの車種である。

R300Bは基本構成こそR300Aと同じであるが、以下の点で東北・上越新幹線向けに変更が行われている。
1)エンジン馬力を185PSから235PSに強化
2)車体構造の変更(全高の低下、全長の増加)
3)冬季装備としてスノープラウが取り付け可能
4)ワイパーから旋回窓に変更(試験機はワイパーを装備していた模様)
5)高速対応の一軸台車に変更
6)速度向上に伴う電磁吸着ブレーキ装備

中でも注目されるものは、高速化への対応として一軸台車が用いられたことである。R300Aでは一段リンク式の走り装置が用いられていたが、本形式では長らく電気作業車で用いられて来た一軸台車が使用されることとなった。これにより単車時100 km/hの速度で走行することが可能となっている。

高速化に伴いブレーキ性能を向上させるため、電磁吸着ブレーキが装備されることとなった。この装置は車体中央下部にレール方向に4組が取り付けられており、通常時はバネにより格納されているがブレーキ弁が非常位置に置かれると電磁吸着体がレール面直下に降り、吸着力が発生し吸着制動を掛けることができるものである。

R300Bは1978年から1982年の間に32両製造され、1995年に登場したGA-100によって置き換えられた。

 
諸元


■ 寸法・重量

長さ 8,300 mm
3,140 mm
高さ 3,150 mm
軌間 1,435 mm
自重 15 t

■ エンジン

エンジン出力 235 PS/ 2,200 rpm

■ 牽引性能

勾配 積載重量 単車積載時 重量牽引時
水平線 1 t 100 km/h 80 km/h
15 ‰ 1 t 70 km/h以上 30 km/h以上

 
参考文献


1)富士重工業, 特願昭55-165526, 特開昭57-090260「一軸台車」
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-S55-165526/ACFAEC0B1068D8A9A6C639045480DD895174458CB386F385C746F58475DFC4D5/10/ja
2)日本国有鉄道・富士重工業, 実願昭53-131886, 実開昭55-048526, 実公昭57-046682, 実登1494010「軌道車両用電磁レール吸着ブレーキ装置」
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-S53-131886/CD81FBD7971DA998AD8E574C3D499C1766108B36794F424E5E165AA4D2296970/20/ja
3)湯本幸丸『写真解説 保線用機械』交友社, 1967年初版・1980年改訂5版
4)藤川央玖人『新幹線保守用車の紹介 新幹線用確認車R600 新幹線用電気作業車MKW』建設機械施工, 75巻3号, 日本建設機械施工協会, 2023年3月