06_確認車

概要


確認車とは、新幹線の夜間保守作業終了後に走行し、安全に列車が走行できる状態であることを確認する。
おもな役割として以下の3点が挙げられる。
1)保守作業の終了を確認する。
2)作業用機械器具等の置き忘れが無いことを再確認する。
3)保守作業の仕上がり状態が列車の高速走行に適するかを確認する。

原則として毎日始発前に全線を数区間に分けて複数の確認車を用いて確認走行する。ただし、線区によっては夜間作業が行われなかった場合は確認走行が省略されることもある。

確認車は保線作業終了~新幹線始発までの限られた時間の中で作業をするため、高速走行性能も重要であり最高100km/h程度で走行できる車種が多い。

なお一部の軌道モータカーにも確認走行に必要な装置が備わっており、確認車が何らかのトラブルや定期検査で走行できない場合には代理運用が可能となっている。

■構造


△JR東日本管内で配備が進むR600
出典:文献 1)

・前照灯

夜間に走行しながら線路異常を確認するため多くの前照灯を装備している。
その中でもカメラなどを使用した非接触式限界支障検知システムを搭載する車種はこの傾向が顕著である。

・検知棒

建築限界に合わせた形状をしており、支障物との衝撃を検知し車両を自動停止させる。


△検知棒
出典:文献 1)

・非接触式限界支障検知システム

カメラやレーザーを用いて支障物を検知するシステムである。
支障物が検知棒に衝撃する前に遠方で発見できるため確認車への導入が進んでいる。


△非接触式限界支障検知システム
出典:文献 1)

 
メーカー


1964年の東海道新幹線開業時に用意された軌道モータカーTMC101Bを用いた代用確認車をはじめ、初の確認車専用形式であるR200を開発し、確認車というジャンルそのものを開拓した。
1993年に東海道新幹線向けに開発された確認車R400はマイナーチェンジを繰り返されつつ、新潟トランシスに引き継がれている。
 


 

2003年より富士重工業の保守用車製造を引き継いだ同社は、確認車R400の製造をも引き継いだ。その後、東北・上越・北陸新幹線向けにより大型のR600を開発。近年は東海道・山陽新幹線および北海道新幹線、九州新幹線向けR600も現れている。
 


 

1997年よりJR東日本と共同で確認車の開発を開始し、2000年代後半まで東北・上越・北陸新幹線向けの確認車GA-100の製造を行った。
 


 

1997年に山陽新幹線に残存していたR300Aの置換え用高速確認車HSC500を開発し、2014年頃までに山陽・北陸新幹線および九州新幹線向けに製造した。

 
参考文献


1)藤川央玖人『新幹線保守用車の紹介 新幹線用確認車R600 新幹線用電気作業車MKW』建設機械施工, 75巻3号, 日本建設機械施工協会, 2023年3月
1) 第一建設工業「鉄道の守(も)り人 ~暮らしを支え 明日へつなぐ~」
https://www.daiichi-kensetsu.co.jp/news/3500/
2) IHI 特願2014-222514, 特開2016-88183「支障物検知システムおよび鉄道車両」
https://patents.google.com/patent/JP2016088183A