09-32CSMおよび08-32Uの置き換えとして、1999年11月から2006年にかけて東海道新幹線に10台が導入された。09-3X型の日本向け改良車である。
従来使用していた08-32Uと比較して、下記の特徴がある。
・車体中央のサテライト部が尺取虫のように移動しながら、停止することなく連続つき固めが可能となるため、作業延長が増える。
また、停止時の車両前後動が無くなり、オペレータに対する疲労を軽減できる。
・左右のタンピングユニットがそれぞれ分割し、計4組のユニット(スプリットヘッド)として個別に制御できる。また分割形態で左右に移動可能であることから伸縮継目部のつき固めが可能である。
・リフティングフック(レールの底部をフッククランプにより持ち上げる)を採用したことにより、伸縮継目部をつき固めることができる。
・中央の4組のタンピングツール配置を薄型にしたことで道床突入面積が10%減少し、道床中への突入が早く、かつ容易となっている。
・タンピングツールの形状はストレートなものに替わったことで、折損の減少と長寿命化を狙った。
・つき固め面積は6%増加し、より有効なつき固めが可能となっている。
2015年度から後継機である09-2X/SHの導入が始まり、2020年時点では運用が終了しているが、MT-879のみ訓練機として柚木に残っている。
■ 寸法・重量
長さ | 23,340[mm] |
幅 | 3,230[mm] |
高さ | 3,727[mm] |
軌間 | 1,435[mm] |
重量 | 87[t] |
ボギー台車間距離 | 15,700[mm] |
ボギー台車ホイールベース | 1,500[mm] |
エンジン | 水冷V型8気筒(ターボ付き) 370[kw](493[ps]) |
■ 作業装置
タンピングユニット | 左右(内外)4分割 |
リフティングユニットフック スライド量 | 200[mm] |
リフティングフック | 左右2か所 |
その他装備 | ・電源基盤故障警報装置 ・応急用電動ポンプ ・エンジン室火災警報装置 |
参考文献
1)阿部謹一『新型マルタイ(09-2X)導入』,日本鉄道施設協会誌,39巻,9号,日本鉄道施設協会,(2001.9)
2)平松繁治『東海道新幹線における新型マルタイを活用した伸縮継目のつき固め作業』,新線路,57巻,7号,鉄道現業社,(2001.7)
3)50年のあゆみ : 1967-2017 : 日本機械保線株式会社創立50年誌, 日本機械保線, 2017.3.